第6部・第2章いないいないばぁか
あてのある旅では無いが、のんびりと旅をする余裕がある訳ではない。
「王子、東西南北どちらへ向かわれますか?」
「自分の個人的な意見としては、南部の大都市リージスに向かうのがよろしいかと。あそこは人口の多い都会です。」
「じゃあそこ行ってみようか。」
外の世界を知らないミカツェルリア王子にとっては付き添いの兵士の助言だけが、頼りであった。移動手段が徒歩と言う事もあって、ミカツェルリア王子は大都市攻略の策に出た。その狙いとしては嫁探しもそうなのだが、徒歩以上の交通手段の確保も狙いとしてはあった。ダイヤモンドの原石はどこに転がっているか分からない。
勿論、そんな棚ぼた的な出会いなど想定外だったが、選択肢としては良い方向に進んでいる。ミカツェルリア王子一行はそうこうしているうちに、ハンロスド王国南部の大都市リージスに到着した。3日位歩いただろうか。リージスの主要産業は鉱山から取れる鉄鉱石等の鉱物を加工し、剣や鎧などに加工する事であった。
リージスはリドスラガ王国の首都である。リドスラガ王国はハンロスド王国の最も信頼している同盟国であり、古来より良好な関係を保っているハンロスド王国にとっては衛生国であった。世界は広いが通常国境を接している国とは、仲の悪い関係であることが多い。
しかし、リドスラガ王国とハンロスド王国は、長きに渡り良好な関係を保っている。ミカツェルリア王子も、そうした事を見聞する事により、将来国を任された時に必要な知識を自分なりに取得していたのであった。
「ミカツェルリア王子、ここがリドスラガ王国の首都リージスです。」
「うむ。」
大きな時計に行き交う民衆。そこは最早ミカツェルリア王子の知り尽くしているハンロスド王国ではない異世界とも呼べる異国の世界が広がっていたのであった。




