ハンロスド王国王子ミカツェルリア
物語を始めるにあたって3人の人物を紹介しておきたい。まずは、主人公のミカツェルリア。ハンロスド王国の国王ロスドルの息子で、あり王位継承順位1位のまさしく王子である。そもそもミカツェルリアは女性と付き合った事がなかった。別にLGBTQと言う訳じゃないが、女性に興味がないのだと彼は言う。今回旅をするのだって、退屈な城での生活よりは良いとロスドル国王に言われたから旅をする事にしただけである。
そんなミカツェルリアは自分の地位や立場はわきまえている。自由奔放ではなく、ロスドル国王の教育に従順で帝王教育を受けるうちに自然と自分が王子である事を理解していたのである。彼の人生の大半は城や城下町での生活だった。エリート教育を受けて嫌でもエリートになって行く。そんな決まりきった道を歩む事は面白味など何も無かった。国王である父や皇后である母よりも城お付きのメイドとの時間の方が長いミカツェルリアにとっては、親は邪魔な存在であった。
そんな息の詰まる様な空間から解放されると言うだけでも彼にとってこの嫁探しの旅は魅力的であった。旅の目的が何にせよ、それを差し引いてもメリットの方が大きいと皮算用していた。これから王になるにあたり、下界の事を知る事はきっと必要な事かもしれない。
自分の生活圏内の事しかしれない君主に国民が付いてくるはずもない。幸いにしてミカツェルリアは若い。若さは武器だとはよく言ったものであるが、若かりし頃の経験や体験は必ずプラスになる。井の中の蛙にならない為にもこの旅はミカツェルリアにとって大きな経験になる。子供の頃から自分は他の人とは違うという事を刷り込まれた人間にとって、人並みの事をするのは、想像以上に刺激的で想像以上に開放的なものである。ミカツェルリア王子はそんな中で育ったのである。




