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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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30/360

布石

 青龍も水菜美もお互いに100%理解し合えていた訳ではない。だからこそ離れて、その足りない何かを確かめる事は必要な作業だったのかも知れない。再び青龍と水菜美は距離を置く事になった。それは青龍から願い出た事であった。

 一度目の別れとは少し意味が違うという事はよく分かっている。しかし水菜美にしてみれば、繋がっていたかったので、嫌な事に違いはない。どうしてそうなるの?そう彼女は言いたかった。

 しかし、一度動き出した列車を止める事は難しく、今回もその流れに乗るしか無かった。一度別れてそれっきり…。なんて事はよくある。だからこそ確証の無い青龍の見切り発車は嫌だったが、青龍の決意は非常に固かった。何が彼をそこまでかたくなにさせていたかは、分からなかったが、青龍には何やら狙いがあるようだった。

 一般論としては別れたり付き合ったりを繰り返すカップルよりは、一度も別れずゴールインするカップルの方が印象は良い。しかし、そのケースも落とし穴があったりする。それは、ゴールインした後に顕在化して来る。アラとも言える二人の短所や悪い部分が目立つ様になって来る。それを乗り越えられれば良いのだが、重大な悪い局面に持って行く危険性がある事を、指摘しておきたい。

 もう2度の別れを経験した青龍と水菜美にとっては、心配する事ではないのかもしれないが、最低限別れの理由を知っておく事は、大切だろう。これから先どうなるか一寸先は闇であるが、その原因は一縷の光となれるのか?

 青龍は水菜美が嫌いだから別れた訳ではない。ここが今回の別れのキーポイントである。好き同士のまま別れた方が、復縁の可能性が高まる。とは言え、心理的負担は大きい。矛盾を抱えたままで選びたくない選択肢を選ぶ事が、果たして二人の為になっているのか分からなくなることもあるだろう。

 そもそも、恋愛と言うのは不確定なものを確実なものに変えていく作業である。好きだと言う想いを形にするにはどうしたら良いか?日々の気持ちを表現する為のキスやバグ。全ては自分の不確定なものを愛情と言うものに変換する作業なのである。その作業が続けられなくなると、別れが近付く。作業を続ける事で生じる不具合に対応出来なくなる事を恐れ、あらかじめ処置を施しておく。

 青龍はそれを繰り返しているだけなのである。だから何度別れ様が水菜美を愛する事さえ諦めなければ、大丈夫なのである。人がやらない恋愛をする。そもそも恋愛に方程式は存在しない。別れたのは1歩下がって2歩進む為の布石である。

 

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