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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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英断

 水菜美は青龍といる時間が本当に楽しかった。デートをしていようとも、授業の間の休憩時間でも、どんな時でも幸せを感じていた。

 果たして世の中のカップルの何割がこうした二人でいる時間を幸せに思えている事だろうか甚だ疑問ではある。

 きっと水菜美の様にどんな時でも幸せを感じていると言うのは、青龍との関係が良好である事の証である。恋人に限らず人間関係が良好であるという事は関係を長続きさせる為の秘訣であるが、今の段階では青龍と水菜美はその条件をクリアしていたと言える。

 冬ももうすぐ終わり、春が来ようとしていたが、青龍達にとってはこの春はまだ到来して欲しくない春であった。何故なら、卒業と言う分岐点によりこの居心地の良い関係が強制的に変更させられるからである。どんな人間もぬるま湯で熱湯や冷や水をかけられる事を嫌がるが、一方は社会人、一方は大学生と言う分かれ道にあっては、右左を選択する必要があった。同じ方向に向いてはいない。そんな事は分かりきっている。

 これは青龍や水菜美だけの問題ではない。進学や就職を控えたカップルには全て言える事だ。関係を続けないと言う選択をするカップルも充分いるだろうし、関係を続けるには戦略を見直す必要があるだろう。進学や就職には出会いもあるが、その分だけ別れも有る事を我々は見逃してはならない。

 人生で一番多感な時期に最も重要な選択を迫る様に仕向けたのは、神や仏ではない。現在の教育制度がそういう風になっているだけであり、振り回されたくないなら、義務教育終了後つまり中学卒と共に直ぐに社会人になれば良いのである。義務さえ果たせば後は当人の自由である。高校に行かなければ、そう言う2択をしなくて済むだろうし、大検に合格すれば大学に行く事も出来る。

 いずれにせよ、彼氏・彼女の為に思いきった選択をするのは現実的ではなく、そう言った英断を下せる若者は社会にとって貴重な存在であると言える。自分の意思を明確にして、そこに邁進する。簡単な事の様に見えて簡単な事ではない。何の為に学校や仕事に行くのか、プライベートはどうするのか?ダラダラとレールに乗っかってしまう学生のなんと多い事か。

 自分の意思と親や周囲の援助を得られたからと言って、その道が果たして自分の為なのかを考えず、"とりあえず"とか"滑り止め"的な感覚で将来の進路を選ぶ事だけは避けるべきである。

 

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