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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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思い出のプリントアウト

 後日スマホで撮ったデート写真を青龍の家で水菜美と二人で、プリントアウトする事になった。

 年が明けてからは、一般入試組は目の色を変えて勉強していたが、就職・推薦組は気楽なものだった。何をそんなに必死になるんだと、青龍は思ったが、この試験に人生をかけているのは、あすなろ高校の一般入試組だけではない。

 青龍は就職祝いに祖父ちゃんが買ってくれた新型パソコンで慣れない操作をしていた。ケーブルでつないだプリンターをセットしたところで、水菜美が来た。いつもと変わらずやっぱり水菜美は可愛い。と、のろけている場合ではない。

 「うわー。これ全部青龍がセットしたの?」

 水菜美はたこあし配線の最新機器類を見て興奮している。弟の紅龍(こうりゅう)に丸投げで設定してもらった。とは口が割けても言えない。

 「まぁな。このくらい楽勝だよ。」

 青龍は強がった。分不相応なパソコンの前で。とにかく、デート写真のプリントアウトが上手く出来れば、それで良いのだ。終わり良ければ全て良し…的な。紅龍から聞いた手順で続々とデート写真をプリントアウトしていった。これはOK、これはNGと水菜美は注文を付けて来たが、青龍はプリントアウトに全集中した。水菜美はこの手のデジタルな作業は不得手で、所謂機械オンチであった。青龍も同じで、県立あすなろ工業高校に通う弟の紅龍とは違ってパソコンには全く縁が無かった。

 「青龍?お前誕生日近いじゃろ?何が欲しい?」

 と、祖父ちゃんに言われてパソコンを買って貰ったのは、まぁ時代の流れに乗ったからである。スマホさえあれば生活には困らないが、仕事で困る。

 デート中の写真は初めはブレブレでピントもあっていなかったが、微調整と言うスキルを覚えた青龍はプリントアウトを上手くこなせるようになった。

 しかし、撮影しているのが青龍の為写っているのは8割がた水菜美か東京の街並みであった。それを水菜美に怒られるかと思ったが、そんな小さい事は彼女は気にしていなかった。まぁ、とにかく楽しい時間であった。通行人に撮ってもらった写真が一枚だけあったが、それが青龍の宝物になっていた。

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