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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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尾張名古屋の奇襲

 京都への道中で思わぬ戦があった。1870年4月5日の事であった。場所は尾張名古屋での戦だった。大軍勢をもって、京都を目指していた旧幕府軍勢力の大名行列を待ち伏せしていたかの様に、1個師団約1万人の新政府軍と見られる戦闘集団が急遽旧幕府軍に急襲。突然の事で旧幕府軍勢力も混乱し、たちどころに応戦し戦闘状態になった。

 このやや後方約1㎞の地点にいたムシャカマルは、指揮を取り一個師団の新政府軍を討伐すべく、掃討作戦を開始した。持っていた兵器や剣術から推測すると、薩摩藩ではなく長州藩の軍勢力である事が分かった。

 それはさておき、この奇襲攻撃による旧幕府軍勢力の被害も並々ならぬものがあった。死亡569人。負傷者1500人以上。と言う損害であった。決して少ない被害ではない。ムシャカマルは少し押されていた旧幕府軍勢力を鼓舞し、自らも切り込み隊長として現場の士気を高めていた。敵の数は確かに多いが、一人一人の実力差はほとんど無かった。ムシャカマルは冷静に情勢を分析して、何とか半日で新政府軍急襲部隊を撤収させる事に成功した。

 ムシャカマルはこの偶然の様な戦いで意気消沈する旧幕府軍勢力を盛り立てる為に次の様な演説をしている。そう言う所も含めて、したたかさと言うものがムシャカマルにはあった。

 「皆!被害も少なくはない。それにこれから戦う新政府軍の強さも肌で感じた事と思う。ただ戦って分かる様に我々旧幕府軍勢力が新政府軍に劣っていない事は分かっただろう。一人一人の実力差はほぼ互角と言う事が出来る。だからもっと自信を持て。奇襲攻撃は不運だった。軽微ではない被害が出たのも確かだが、それでもこの戦いを前向きにとらえられる事でしか道は開けないと考える。その説明が不用な事位皆は分かっているであろう。良い準備体操であった。その様に考えなくては、また我々は敗退の道に戻ってしまうのだ。」

 土方・榎本・勝はこのムシャカマルの演説を聞いて、こうした人間が人の上に立つのに相応しいと、三者三用に思った事であろう。文武両道の名に相応しいムシャカマルの活躍ぶりは、日本の将来にとって絶対に必要な人材であると言う認識があった事には変わりはない。

 剣の腕も去ることながら、人を惹き付ける巧みな話術を持っている正にカリスマと言う存在であった。人間誰しもが弱点を持っているはずなのだが、ムシャカマルにはその様な節がない。完全無欠。それがムシャカマルと言う男であった。軍勢を整えたムシャカマル達旧幕府軍勢力は、再び京都への進軍を開始した。

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