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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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コルセアーディナルド

 「あの剣どこかで…。」

 勝はムシャカマルの持つコルセアを見てそう呟いた。ムシャカマル…コルセア…。これ等を知る事は、彼の育った環境を知る事でもある。ムシャカマルが、この珍しい剣を手にしたのは彼がまだ9歳の頃であった。自分の背丈程もあるこの剣をムシャカマルに与えたのは、滝沢蒼乃龍(たきざわそうのりゅう)と言う人物である。滝沢は勝の元で5年ほど学んでいた経験があったが、蝦夷地(北海道)の開拓責任者に任命され江戸を離れていた。コルセアは滝沢が江戸を離れる際に勝から貰ったものである。

 ムシャカマルと滝沢蒼乃龍の出会いは、蝦夷地で親に捨てられ天上天下唯我独尊状態のムシャカマルを滝沢が拾ってやったのが出会いであった。これはもう運命としか言いようがない。滝沢はムシャカマルに学問と剣術を授けた。ムシャカマルの師匠である獅子奮迅流のカアラ導師に出会う前の5年ほど前の事であった。コルセアは滝沢からカアラ導師に、ムシャカマルが獅子奮迅流を極めた際に導師から渡して欲しいと預かったもので、修行の邪魔になるからとカアラ導師が預かったものである。

 さて、それはさておき、ムシャカマル形成に影響を与えた二人のキーパーソンが出て来た事で関係を整理しておこう。

まず、勝海舟が弟子であった滝沢蒼乃龍に蝦夷地へ渡る様に江戸幕府から命令があり、その際に勝からコルセアを与えられる。その滝沢がムシャカマルを拾って育て、更なる強さを求めて獅子奮迅流の師範であるカアラ導師にコルセアとムシャカマルを預けた。こうした流れがある。

 その間に独学で学んだ兵法術でムシャカマルは独特の戦略感を磨いていたが。剣術の稽古も人一倍積んでいたと言う。ただ、この事からムシャカマルの強さとオリジナリティを形成した理由が分かる。使う剣術の出自と生い立ち。今、大きなうねりとなって時代を変えようとしている男の過去は、決して恵まれたものではなかった。寧ろいつ死んでもおかしくはない幼少期を乗り越えたお陰で、強さを得られたがそれがトラウマにもなっていた。

 それにしてもまさかあのムシャカマルが、勝のコルセア一本でここまで進軍したのかと思うと不思議な気持ちになった。聞き慣れない剣の名前に、よく分からない正体不明の剣術。しかし、ちょいと調べればそう難解なものではない。

 「そうか、滝沢の奴か。」

 勝はようやくムシャカマルの持つ剣の名前が分かった。正式名称は「コルセアーディナルド」勝が、米国海軍士官ブルック大尉から貰った洋剣である。

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