水菜美のけじめ
それから直ぐに水菜美は青龍に"別れの真実"を告げる為に放課後に時間を作ってくれる様に青龍にお願いした。
「ゴメンね。急に話があるなんて時間作らせちゃって。」
「良いよ別に。家に帰ってもやる事無いし。」
「今日はどうしても青龍に伝えておきたい事があって…。」
「何だよ?勿体ぶらず言えよ!その為の時間だろ?」
「私、実は太陽君とは付き合って無かったの。青龍の他に好きな人なんていなかったの。」
「え?どういう事だよ?俺達が終わったのって一体…?」
「あの時青龍と距離を置きたかったのは確かだけど。」
「けど?」
「私も格好つけたせいで、話をこじらせた。でも結果的には、あのまま交際を続けなくて良かったと思う。」
「随分勝手だよな?何だよそれ?納得出来るか?」
「ゴメン。でもこれを言わなくちゃもう一度青龍と向き合えないから。」
「今もずっと水菜美の事好きでたまらないのにさ!」
「私だって離れてからもずっと青龍の事想っていたよ?」
「それでもすれ違っちゃったのは事実だし。本当にゴメン。」
「謝るなよ。簡単にそんな言葉で容易く片付けようとするなよ?」
「俺達が終わったのって理由があったんだな?」
「これを今言わなきゃ。そう想って伝えたの。例え嫌われても。」
「これからどうするんだ?俺達またやり直せるのか?」
「それは今すぐにと言う訳には…。私が今日伝えたかったのはもう伝えたから。」
「きっとこの真実を当時の俺が知っていたら、俺は許せなかったかも。」
「そこに踏み込まなきゃ私達の未来は無いと思った。」
「じゃあ今は本当に好きな人いないんだな?」
「いるよ。青龍が。」
「ああ、そう。照れるじゃん?俺達もう一度やり直せるなら、やり直したいよ?」
「私も同じ気持ち。けど、私にはその資格がない。」
「資格?」
「私がまいた種だからそれを片付けなくちゃ。私にとって大切な人を悪戯に不安にさせた罪は重い。」
「そんなに背負い込むなよ。俺にだって責任はあるんだから。」
「とにかく、けじめつけなきゃ先には進めない。」
「正直者だな。水菜美って。まぁ、そこが良い所なんだけどな。」
「今日はありがとう。」
「俺達もう一度やり直せるって事で良いんだよな?」
「もう一日だけ待って。それが私のけじめをつける為に必要な時間だから。」
「ったく。やくざじゃないんだから、けじめなんて要らないだろ?」
「一日だけ、お願い。」
「ああ、分かった。」




