下級兵士達のムシャカマルの評価
ムシャカマルの戦いぶりを見ていたのは、何も土方や榎本だけの事ではない。先の戦闘で、実際に戦闘に参加していた兵士達は、生で見たムシャカマルの強さに驚愕していた。なまじこれまで苦戦していた薩長の兵器と兵力をいとも簡単に葬りさってしまったものであるから、その噂の広がり方も尋常ならざるものがあったのである。とある下級兵士達の会話である。
「なぁ?知っているか?ムシャカマルとか言う奴が新政府軍を一人で撃退したらしいぜ?」
「その噂、本当なのか?俺達は直接見た訳ではねーし。」
「そりゃ本当だよ。俺はそいつの指示で函館を守備したんだからな。」
「そいつぁすげぇや。で、どうなんだい?そいつの実力の程は?」
「名軍師ってだけで実力は口ほどにも無いと言う具合かもな。」
「いや、戦闘力も半端ねーぜ?我々の想像しうる次元の世界にいる人間とは思えない。」
「じゃあ奴は何者なんだ?何の目的でそんな事をする?」
「今頃出て来て今まで何してたんだよって感じかな。」
「俺の見立てでは俗世間の事はどうでもいいのかも知れん。」
「それじゃあ何の目的でこの戦いに参戦しているんだ?」
「それによ、こんな負けそうな側に付くなんて余程の変わり者だぜ。」
「ただ、ムシャカマルには感謝しています。彼がいなければ我々は函館で敗退していたでしょう。」
「一度その実力をとっくと見てみたいものですがなぁ。」
「で、これからムシャカマルはどうするんだ?」
「そんな事を俺達足軽が知る訳無いだろ?」
「土方さんや榎本さんが上手くやるだろ。」
「でもよ、今度戦になれば、薩長も黙っていないだろ?」
「そこはしっかりとムシャカマルも言及していたみたいだぜ?南下して行くって。」
「北に逃げてきておいて反転攻勢をかけると言うのか?」
「それが出来たなら、日本の歴史は、変わるだろうな。」
「その位の事は出来そうな感じは彼のオーラから感じとれた。」
「ムシャカマルか…。その剣技是非我が目で見て見たいものですな。」
「なぁに、これから戦いは必ず起きる。見れるよきっと。」
「ムシャカマルの戦いは一見の価値があると言うのは確かだな。」
「救世主なのかな?」
「そうだと思いたい。」
「世の中の流れに逆行する事になっても良いものなのか?」
「それは後世の人が判断する事であるはず。これもまた運命の範中なのかも知れないな。」
これはあくまで最下層の足軽から見た等身大のムシャカマルであった。




