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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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強さの先へ

 「あいつは一体何者なんだ?」

 土方と榎本は戦闘終了後にムシャカマルに聞いてみる事にした。

 「もう敵はいないのか?」

 「はい。あらかたかたがついた様ですね。」

 「ところであんたは何でそんなに強いんだ?」

 ムシャカマルはコルセアを納めて自分の身の上について詳しく語り始めたのである。

 「私は親に捨てられて以来人が信用できなくなりました。勿論、ここまで育ててくれたカアラ導師には感謝しています。しかし本当の親ではありません。親の真似は出来ても親の代わりなどいないのです。心のどこかにまた捨てられるかも知れない。そんなドロドロした感情が私にはありました。まだ字の読み書きも出来ない頃からそんな環境に置かれていた私は、剣の腕を磨き強さだけを心の拠り所にしようと考えたのは不自然な事ではないでしょう。カアラ導師には、いつもこう言われました。」

 「ムシャカマルよ。貴様の剣に人を思いやる心があれば更に一皮むける事が出来るだろう。」

 「しかし私はその境地には達せず、カアラ導師は亡くなってしまった。押して押して押し切る剛剣こそ強さだと思っていた故に、確かに戦場で負ける事は無かった。ただ充実感は無かった。私には日本がどうなるかと言った様な大きな政治の話には、はっきり言って興味がない。ただ国を左右する様な大きな戦いに身を置けば得られるかもしれない剣の極意があるなら知りたい。貴様達の元へ来たのは、勝ちそうではないからついた。その方が獅子奮迅流のパフォーマンスも上がる。その方が私の為になるからだと、判断したからだ。佐幕だ開国だと言うような自分の信条を見せびらかしたりすると言うような浅はかな考えはない。戦いが終ったらばその後の事は土方や榎本の好きにすれば良い。私は修行の旅に海外に行く事になるだろう。」

 「なるほどな。でこれからどうするんだ?」

 「薩長は、いよいよ本腰を入れて我々を潰しにかかるだろうな。」

 「ではここまで北上を許したのだから、逆襲して南下し江戸を抑えるってのはどうだ?」

 「それは名案だな。エノそれで良いか?」

 「私はただのお飾りだから。指揮官の土方君の指示に従うまでだよ。」

 「よし。まずは東北の新政府軍の拠点である仙台を目指そう!」

 「そうですね。それに元々は佐幕派だった武士達も仲間に入れて勢力を広げましょう。」

 歴史にIFは許されないが、このムシャカマル達の戦いはそのIFを実現させる為に歩み出していると見て間違い無さそうである。

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