第4部武士way ~その男敵無し故注意せよ~・第1章救世主
時は幕末の事である。最早敗色濃厚となった徳川連合軍に突如一人の最強剣士が表れる。名を無邪神丸と言う。函館五稜郭に籠城し、薩長軍に抗っていた土方歳三の元にムシャカマルは行きこう告げる。
「土方、死んではならぬ。ここから歴史を変えるのじゃ。」
そう言うムシャカマルに導かれ、徳川連合軍はどんどん南下して行く。そして薩摩で西郷隆盛を倒して日本統一を成し遂げる事を目指して戦う事になる。
時は明治直前の幕末日本。薩摩・長州を中心とした新政府軍に成す術もなく敗退して最早、風前の灯となった徳川連合軍は、日本の本州を全て制圧され、残るは蝦夷地(北海道)のみとなっていた。この物語は、明日にも突撃して死に花を咲かせようとしていた新選組の元副長土方歳三の前にどこからともなく現れた謎の剣士である男が夜の函館五稜郭で出会う所から始まる。
土方歳三は物思いにふけながら北の大地の空を眺めていた。ああ、明日自分は総攻撃をしつつ死ぬ事になるんだろうな。近藤勇(局長)も沖田総司(一番隊組長)もいなくなってしまった世の中に未練は無いからまぁ、いいか。そんな事ばかりを考えていた。すると、突然背後に人の気配を感じた。
「貴様、何奴!?ん?」
土方の後ろには誰もおらず、前を振り返ると謎の剣士が立っていた。
「大きな声を出すでない。私の名は無邪神丸。」
「こんな所で何をしている?我々は明日にも新政府軍に総攻撃を仕掛ける身だ。悪いが悪戯なら他所でしてくれ。」
「少し私は腕に覚えがある。だから貴殿に力を貸したい。」
「何故そんな事を?相手は薩摩・長州だぞ?今の状況で勝てるはずがない。」
「その運命を変える為に私がこうやっているのである。」
するとムシャカマルは背中の剣を土方に見せたのである。
「見事な名剣だ。だがもう武士や刀の時代は終ったんだ。」
「私の獅子奮迅流はどんな近代兵器も打ち負かせる事が出来る。試しにその胸元にあるピストルで撃ってみよ。」
何故胸元に銃がある事が分かったのかと言う事にも驚いたが、何よりも引き鉄を引くと同時に弾丸とピストルだけを綺麗に斬られたと言う事実に脱帽している土方であった。
「言っただろう?私は今最も威力の低い"青大将一の剣"と言う形の技を使ったに過ぎない。獅子奮迅流にはこれ以上の威力のある技がまだ7つもある。まぁ、どの剣技を使うかは状況次第だがな。店長だろうが社長だろうが薩長だろうが、私の敵ではない。」
土方はこのムシャカマルと出会ったことで大きく運命が変わっていく事になるのである。




