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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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食の黒船襲来

 田川も一度は本場、米国のマクドナルドに行ってみたいとは思っている。一人では到底食べきれないサイズのハンバーガーにかぶりついて、バケツの様な量のコーラをたらふく飲む。米国人には成れないが、その気分を味わう事は出来る。

 田川の様な戦後世代は米国と言う国に対する憧れが尋常ではなかった。幼少期に欧米の食文化が庶民にまで普及し、日本があまり豊かではなかった時代の米国は、憧れと言う言葉の凝縮した代名詞であった。米国は、国家と言う概念を通り越した目指すべき""形"であったのだ。だから、田川はマクドナルドが日本に上陸すると聞いた時は、我を忘れて喜びに浸ったし、働くならばマクドナルドクルーとして就職したいと思っていた。

 今でこそマクドナルドは全国にあるが、マクドナルド上陸当時は食の黒船襲来並のインパクトがあった。たかがハンバーガーショップと侮るなかれ。当時は今で言えばアップル社のiPhoneが日本に進出する位の感覚であろう。とは言え、別にマクドナルドが日本に来たからと言って生活は一変する訳ではない。敗戦から立ち直る道半ばにあった日本にあって、外資の大規模チェーン店が来る事は、言って見れば五輪招致に成功した国家の様なものであった。

 根回しをして、少しでも日本経済の起爆剤になれば良いと思うから招致をする。初期コストはかかるであろうが、それ以上の副産物が生まれる事を見越しており、主眼はそこにある。今ではマクドナルドは五輪の公式アンバサダーである。それは五輪がついにそこまで商業主義に走ったかと言う事を示す良い例である。

 世界の平和を祈る平和の祭典が商業主義に走っている時点で、本来あるべき五輪の目的が失われている気もするが、ここで五輪批判をしても仕方の無い事である。外資のチェーン店が日本に入って来るのは、日本人にとっては喜ばしい事であった。超有名・ファーストフードのパイオニアである、あのマクドナルドが極東の辺境で何も資源のない島国に店を出してくれた。それはモチベーションになった。あんな米国かぶれのハンバーガーショップになんか、負けてたまるか。それは明らかなプラスのループであった事は確かである。

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