商品開発の苦難
バンズと合うものならば実はどんな素材でもいけるのである。別に肉類に縛られる必要は全くない。ただ、それが正当なハンバーガーと言えるかは、議論の余地があるだろう。肉類をバンズに挟んだものが正当なハンバーガーだとするならば、それ以外のハンバーガーは邪道と言う見方も出来るだろう。基本的な路線はそれで良いかもしれない。
しかし、変わり種を準備したい時には、邪道だと分かっていても、そこに足を踏み入れる必要がある時もある。フィレオフィッシュバーガーの様にヒットすればよいが、邪道と言う商品には開発に成功していても、ヒットすると言う確実性は全くないと言うリスクがある。要するに未知数なのである。
そう言う意味でもフィレオフィッシュバーガーのヒットは、マクドナルドにとって大きな可能性を広げた商品とも言える。天下無双のマクドナルドと言えども、開発した全ての商品が成功している訳ではない。所謂ボツメニューは成功したメニューの何倍もある。商品展開をしていく中でコスパが悪いからボツになった商品もあるし、単に美味しくなかったと言う事でボツになったメニューは数知れない。
商品開発は遊びではない。常にヒットする事を念頭に、客足を増やすものでなければならない。今ではレギュラーメニューとなった商品でも、いくつかのメニューを除いては、全てが商品開発によって生まれてきたものであった。創業時と比べれば、そのメニュー数は遥かに今の方が充実している。
一般マクドナルドユーザーが考えうるハンバーガーの多くは、マクドナルドの商品開発部門人間に試されているであろうし、世に出るメニューの多くは大抵が一般ユーザーの想像を超える物である。一手間も二手間も加えてあっても、完璧なマニュアルでマクドナルドクルーが作れるものに仕上げてくる。しかもそれでいて美味しいし、プライスも手頃である。商品開発部門の人間が全ての調理行程を踏まえて研究して商品化している。
ただ、お客様を驚かせる、ただ、美味しそうなものを作る。それだけでは足りないのである。無論、第一にあるのは売り上げ増収であり、お客様が買ってくれる物を作る事が最優先事項である。しかしながら、それを作れたとしてもコスパが悪ければ商品開発としては失敗であり、新商品の開発にはそれだけの苦難を伴うものなのである。




