第18話フィレオフィッシュバーガー
ハンバーガーと言えば、肉類を使っているものだと言う固定概念があるが、マクドナルドには肉類を使わない魚を使ったフィレオフィッシュバーガーと言う商品も不動の人気を得ている。中身は至ってシンプルで、白身魚のフライをタルタルソースとバンズで挟んだだけのものである。
当初はこんなものがヒットするわけ無いと思われてきたフィレオフィッシュバーガーだが、世界展開をしていく中で、相当数の肉類を食べられないお客様がいることが明確に分かってきたのである。そこでマクドナルドは宗教上の理由やベジタリアンなど、牛肉や豚肉が食べられない人向けのハンバーガーとして、フィレオフィッシュバーガーを売り出した。
白身魚のフライは油で揚げているので、パンチ力もあるし、肉類と同等の満足感を得られる。サイドメニューとの相性も抜群で、狙い通りフィレオフィッシュバーガーは肉類を食べない人にもヒットした。最も肉類以外の素材で新たな分野のハンバーガーが作れないかと言う事も、模索していたためマクドナルドとしては、肉類以外の選択肢がある事を世に示したのである。
おまけにコスパの面でも原材料のスケトウダラは優秀であった。肉類を仕入れるコストを考えれば、スケトウダラの仕入れ値は安かった。つまりフィレオフィッシュバーガーは、様々な制約をいとも簡単に突破した商品である。肉類以外の選択肢を考えていたマクドナルドにとっては良い成功例となった。勿論、抵抗はあった。なにしろ肉類以外のハンバーガーは邪道だと言う思考が根強くあったのは紛れもない事実だったからである。
たまたまフィレオフィッシュバーガーが成功例になったが、ここでズッコケていたら、マクドナルドは肉以外の素材で勝負しようとは思っていなかったかもしれない。とにかく、色々な意味で賭けであった。今ではマクドナルドの不動のレギュラーメニューになっているフィレオフィッシュバーガーであるが、その地位を築くまでの道のりは楽では無かった事は確かである。魚を扱えるそれは、マクドナルドのイメージに最も似つかわしくないものだが、それさえも戦略にしてしまうのがマクドナルドと言う企業であるのだ。




