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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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米国研修

 これは田川の幹部研修で本場米国のマクドナルドに行った時の事である。都市部の店舗と比較的田舎にある店舗のツータイプのマクドナルドを見学したのだが、カルチャーショックを受けた。店員の接客の粗雑さや、対応能力の低さは勿論、何よりも水がドリンクメニューに載っていて、きちんとお金を取っていた事である。

 しかもその水が、ミネラルウォーターと言うならまだしも、普通の水道水だった事がショックであった。米国的合理主義の精神で言えば、取れるところから取れと言うのは、日本人には理解に苦しむものかもしれない。

 当時、田川はその事について本場米国のマクドナルド社員と行った座談会で、水の件について聞いた。

 「何故水が有料で提供されているのですか?ミネラルウォーターならまだしも、水道水を有料で提供する事など日本のマクドナルドでは有り得ません。」

 すると、米国のマクドナルド社員で店長クラスの人物はこう答えた。

 「水道水とは言え、米国の水道水は日本並みにクリアで衛生的には何の問題もありません。日本人にとってはサービスの一環かも知れませんが、水は大切な商品です。湯水の如く天然水の湧く日本とは違うのです。日本人は恵まれています。」

 と、回答してきた。日本の方がまるでグローバルスタンダードからかけ離れていると言われた様で、田川は言い返す事が出来なかった。結局米国のマクドナルドは日本のマクドナルドの店舗経営とは、根本的に違うと言う事が分かり、勉強になった。都市部の店舗と内陸部の田舎店舗では、同じ国だが経営スタイルは全く異なっていた。米国のように国内でも時差があるような大国では、日本の様なサービスを展開するのは難しい。それは他の国でも同じ事である。言わば縮図とも言えた。

 カフェテリアの延長線でのんびりわいわい過ごす店舗もあれば、慌ただしく多くの人が入れ替わり、回転率を上げる事で利益を上げる大都市の店舗では、客層もターゲットも、何もかも違うのである。日本の様な狭い国にいては分からない事もある。それが田川の米国研修における収穫であった。米国のマクドナルドの様な考え方は、分かっていた事とは言え日本は特別なのだと感じた。

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