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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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月見バーガー

 田川が中堅として活躍し始めたのは30代後半位からである。そんな時のエピソードである。マクドナルドでは定期的なレギュラーメニューの他に季節限定・期間限定の商品を出している。しかもそれをテレビコマーシャルで大々的に流す為、その反響たるや大きい。

 分かりやすい期間限定メニューが月見バーガーである。秋の十五夜が近くなる頃に販売される、ビーフパティとバンズの間に卵が挟まっている非常にシンプルなハンバーガーである。月見バーガーだけではなく、期間及び季節限定メニューは朝・昼問わず提供されている。

 回転率の速いマクドナルドでは、店に長蛇の列が出来る事は稀であるが、限定メニュー発売日初日には来客数が増加する傾向にある。マクドナルドのランチタイムは猫の手も借りたいほど忙しくなる。

 さて、前置きが長くなったが、このエピソードは二日に渡るものである。おやつ時PM15時位にその日発売日だった月見バーガーを注文した男性サラリーマンがいた。テレビで見て食べたくなったから来たと言うその男性客に、申し訳ありません。月見バーガーはPM14時頃売り切れてしまった旨を告げると、その男性客はクレームも言わず別のハンバーガーを注文して帰られた。

 次の日はAM10:30に同じ男性客が来られた。きっと昨日食べられなかった月見バーガーを食べに来られたのだと田川は思いあまりにも嬉しかったので、職権乱用覚悟でフライドポテトが安くなるクーポンを渡した。すると、気の利いた良い店だね。と言って下さった。とまぁ、微笑ましいストーリーで終わるはずだったが、このエピソードには後日談があった。

 実はその男性客は日本マクドナルドの幹部社員で、抜き打ち調査に来ていたのであった。私服警官のマクドナルドバージョンである。そうとも知らず田川は気持ちを優先させた。しかし、その行動が幸か不幸か素晴らしい対応だと評価された。田川としては当たり前の事かもしれないが、お客様にまた来て頂ける様に努めるのは、マクドナルドクルーとして当たり前の事である。誰がいつどんな時に来ても同じサービスを提供するのが大切なのである。最も抜き打ち調査に来ていたのは驚いたが。田川にとっては、接客と言うものがどうあるべきかを理解する、良い機会になったと言う事は、今でも変わらずにサービスを実施出来ている根源である。

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