第3部・第2話AM10:30
俗世間では、AM12:00がお昼の目安であると思うが、マクドナルドではAM10:30が俗世間でのAM12:00に相当する。それは朝マックからメインメニューへの移行の時間帯である為である。マクドナルドのメインメニューである各種ハンバーガーやフライドポテトやナゲットと言ったサイドメニューはこの時間帯からの登場となる。
一時間半時間をずらしているのは、長年の経験から準備やお客様のニーズを把握している為であり、計算されつくされた時間である。こう言うのも何だが、朝マックは控えメンバーで、いわゆるレギュラー、つまりAM10:00以降に出てくるメニューこそスターティングメンバーである。朝マックのメニューを軽んずるつもりはないが、販売時間の長いレギュラーメニューの方が重視されるのは、言うまでもない。
そしてマクドナルドは、ドライブスルーやテイクアウトの収入強化にも努めている。その為、レギュラーメニューを無駄無く作れる様にクルーの態勢を整えている。レギュラーメニューの無い、所謂スター軍団のいない朝マックでは、マクドナルドがここまで大きく成長する事は出来なかったであろうし、何よりも流行る事はなかっただろう。
そもそも現代における多様化したファーストフードが一大産業となる為には、先駆者となる存在が必要であり、その役割を果たしたのがマクドナルドであった。と言う自負がマクドナルドにはある。M-WAVE(マクドナルドの波)は瞬く間に世界を席巻しお国柄の違いや文化を越えて世界中に広まった。手軽さや便利さもさておき、万人受けする味をマクドナルドは持っていた。
宗教や人種の違いを越えて愛されているファーストフードなど、マクドナルド誕生まで人類史上あっただろうか。そして、子供から高齢者まで年齢不問の、正に万人の万人による万人受けするファーストフードそれが、マクドナルドである。
とにかくマクドナルドクルーにとっての正午は、AM10:30なのである。ここから閉店までは気が抜けない。勿論、出社してから気を抜く事は無いが、それ以上にAM10:30は大切なのである。この時間から混んでいる日は忙しい。例えば土日祝日は不問だが、平日でも忙しい事はある。そこでベストパフォーマンスをする事が売り上げの恒久的な安定につながるのである。




