電撃破局
一方の水菜美は、三船太陽と残り少ない高校生活を楽しんでいるはずだった。青龍に好きな人がいるから別れて欲しいと言った手前、三船太陽と付き合っていなければ、つじつまの合わないのだが、何と驚く事に水菜美と三船太陽は、1週間と言うスピードで破局していたのである。どうやら理由は明確であった。
文化祭の勢いで付き合いだしたのが関の山で、そのときめきは一瞬のものであった様だ。別れは水菜美から切り出した。三船太陽も既に水菜美と同じ考えでいて、あっさりとこの提案を了承する事にした。
と言うのも、三船太陽も大学進学を考えていて、勉強に打ち込まなければならず、遊んでいる余裕など無かった事も背景にはある様であった。勿論、その事は青龍の及び知る事になるのだが、それは少し先の事になる。水菜美はこの事を親友の川合京子にまず相談した。
「京子?ちょっと聞いて欲しい事があるんだけれど?」
「水菜美が相談?進路の事ではなさそうね。異性の話かしら?」
「流石京子、鋭いわね。私、三船太陽君と別れちゃったの…。」
「文化祭の時は仲良くしてたじゃない?それにしても早いわね。」
「何て言うか、勢いに任せて突っ走っても駄目なんだね。」
「で、その事は青龍には話したの?関係無いけど。」
「それを京子に相談したかったの。打ち明けるべきか否か。」
「あんた、実はまだ青龍の事好きなんじゃない?」
「うん。正直何で別れたのかも分からない。凄く後悔している。」
「復縁を狙ってるなら、その時まで水菜美の口から三船太陽と別れた事は黙っておくべきね。」
「そうした方が良いのかな?でも噂が一人歩きしないかな?」
「青龍は単純な様でナィーブな奴だからね。」
「ところで、京子は進路どうするの?」
「うーん…。」
「私はやりたい事もないし、とりあえず短大か普通の大学に行く事になると思う。」
「いずれ結婚はするけど、仕事は続けるつもり。」
「保育士になるんだよね?」
「そう。子供好きだからね。」
「そんな先の事までプラン立ててる何て羨ましいよ。」
「何言ってんのよ?学年一番の秀才が。」
「ごめんね。貴重な時間を私の為に使わせてしまって。」
「何水臭い事言ってんのよ?私達親友でしょ?青春時代はもう終わるんだよ?悩んでる暇ないわよ!」
「ありがとう。京子に相談して良かった。」
「しっかり自分の気持ち言うのよ?あんたなら絶対大丈夫だから。」
長い試練の冬が訪れようとしていた。




