留土羅のスピーチ②
前項の続き。
「ただ私は人間と言うものは見た目の美しさよりも、内面の美しさの方が重要だと思うのです。私は本宮修子の内面の美しさに惹かれました。世間の人間は見た目が9割だと主張する人もいます。しかし、実は目で視覚的に捕らえられる物の方が遥かに情報量は少ないと言う致命的を、その論調は見逃してしまっています。私に言わせれば世間の人間の言う見た目が9割と言う論調は、こう言い換えられます。人は視覚的に捕らえられる内の9割の情報しか得られない。内面の事情など全く得られないのです。お分かりでしょうか?恐らく人が視覚的に得ている情報と言うのは、実はわずかなものであると言う事であります。一見しただけで人を推し量るなど愚の骨頂です。そう言うビジュアル的な事だけで人を見ていた時期も有りました。過去にはその様な自分が思い上がり失敗をした事もあります。でも、結婚するならばそれではいけないと気付きました。いや、気付かされました。人を想うには、まず知る事から始めなければなりません。それは恋愛も仕事も何でも同じです。まずは知る事。そこから理解は始まるのです。たかだか20数年しか生きていない若輩者。何を分かった様な口を利いているのだと思われるかもしれません。しかしながら、もう一から十まで世話にならなければならない子供でも老人でもありません。だから大人の一員として、甘えてばかりいられません。私と妻は職場恋愛ですが、一つ一つ理解を重ねて恋愛に発展しました。好きと言う言葉を面と向かって言える様な積極的なカップルではありませんでした。それでも、互いにぺースを乱す事なくここまで来たのも事実です。ですが、今日この日を迎えるまでに、山あり谷ありと言う波は有りました。しかしながら、山も谷もない恋路の先にあるのは、安定した幸せとは限りません。気持ち悪い位に安定飛行だと不幸の予兆を見過ごしてしまうからです。だから多少なりともピンチを経験しておく事を推奨します。」
次項に続く。




