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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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昇進の訳

 仕事の分野でも留土羅は結果を残していた。留土羅自らプロデュースした企画"ドリーマーズ~夢追い人~"が大ヒットし、亜細亜出版の営業課長に昇進していた。勿論、その昇進と結婚には何の関係もない。仕事で上手く行ったからプライベートも上手く行った訳ではないしその逆でもない。"ドリーマーズ"がヒットしたのだって、恐らく偶然の産物であろうと思う。

 この様な企画を立てていた雑誌や出版会社は吐いて捨てるほどあった。ただ"ドリーマーズ"の良さを上げるとすれば、取材対象が芸能人かスポーツ選手に限られていた事である。何故この二つの業界に的を絞ったのか?それは留土羅が野球や芸能人好きと言う事もさる事ながら、生存競争の激しい世界で生き残る強さや美しさと言うものが、読者に伝わる様に記事を私的に書き始めたのが、原点であった。勿論、それを記事にしたいとは思っていたが、まさか読者にヒットするとは思っていなかった。

 転機が訪れたのは、月一の定期ミーティングで"ドリーマーズ"の事を何気なく言った事が、上司の耳にとまった事であった。それからはトントン拍子で記事は企画化されて行った。プロデュースは留土羅に全権が任され、夢が一つ叶った瞬間であった。自分の私的な記事が企画化されて、記事になる。最も読者にヒットする様な目的ではなく、私的な満足度を高める為に書いてきたものであり、それが逆に新鮮に見られたのかもしれない。基本的に雑誌に載るような企画と言うものは、読者に伝わる様にその目的の為だけに書かれる。言うなれば、定型化しやすいのである。定型化された文章は読者の目を引くが、心には響かない。

 その点私的な満足度を満たして書いた文章は、ささる人にはささる。言うなればマニアックな小説や漫画の様なものである。自分の満足度を高める事で読者受けする物が書ける。これも立派な戦略の一つと言えるのである。

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