第九十七話 視察の開始
そして昼食を食べ終えると、ギルドマスター達が集まってきました。
僕はそれなりの服に着替えて、応接室に向かいます。
「なんかねー、あぶない! っておもったんだよ」
「あら、そうなのね。だから魔法障壁を出したのね」
「そーなの。でも、ららねーねとりりねーねのまほうよりよわかったの。ぜんぜんへっちゃらだったよ!」
応接室に入ると、服飾ギルドマスターと仲良く話をするライラちゃんの姿があった。
広場での宣誓式の襲撃事件で、魔法障壁で僕達を守った事を楽しそうにお喋りしてる。
他のギルドマスター達も、ニコニコとしながらライラちゃんの話を聞いているよ。
「皆さん、お待たせしました。ライラちゃん、良い子にしていた?」
「うん! だいじょーぶ」
僕が皆に挨拶しつつライラちゃんに念の為に確認すると、ライラちゃんはニコッとしながら答えていました。
「弟殿下、可愛い妹分じゃないか。大事にしてやりな」
「はい、そう思っております。ライラちゃんは僕の大切な家族ですから」
ライラちゃんと話をしていた服飾ギルドマスターも、ライラちゃんの頭を撫でながら僕に話しかけていた。
ライラちゃんは、これからも僕の大切な家族だもんね。
待たせてはいけないので、早速ギルドマスター達に薬師ギルドを案内します。
大まかな所はエミリアさんが説明してくれます。
勿論、ライラちゃんも説明に同行します。
「ここが僕達の執務室です。使用人ギルドから応援も来ています」
「おお、弟殿下の側近は皆スタイルが良いなあ」
「あんたは、何下品な事を言っているの!」
「あたっ」
「「あはは……」
早速執務室を案内すると、職人ギルドマスターがサーニャさん達を見て率直な感想を漏らしていた。
思わず服飾ギルドマスターが職人ギルドマスターに強烈なツッコミを入れているけど、やっぱり男の人がサーニャさん達を見るとそう言う感想を漏らすよね。
僕とエミリアさんは、思わず空笑いをしてしまったぞ。
すると、商工ギルドのギルドマスターが書類の状況を質問してきた。
「クロノ殿下、書類の量がとても多いのが気になりますが」
「実は、前の薬師ギルドが大量の仕事をやり残していまして。後は、王都と各地の薬師ギルドの交流が復活したのもあります」
「有難い事に、皆さんのご協力で段々と書類の量は減ってきています」
「以前の薬師ギルドはとても仕事が遅かったのでしたが、この様な内情になっていたのですね」
「はい、残念な事に以前の薬師ギルドはギルドとしての体を成していませんでした。来週には新しい人が来るので、書類処理のペースはもう少し早くなりそうです」
あまり他人の事は悪く言いたくないけど、以前の薬師ギルドの幹部は本当に仕事ができない人だったよ。
僕の事を突き飛ばして捕縛された人なんかは、薬師ギルドにいるだけでお給料を貰っていたんだって。
商工ギルドマスターも、少し憤慨しながらも現状を納得してくれました。
あと一ヶ月もあれば、前の薬師ギルドが積み残した仕事も目処が見えそうです。