第九十五話 ギルドマスター会議
カチャ。
「おお、中々楽しそうにしているな」
「他のギルドとコミュニケーションをとるのも、ギルドマスターの大事な仕事だぞ」
「あ、アルス兄様、カーター兄様」
僕達がわちゃわちゃしている所に、アルス兄様とカーター兄様が会議室に入ってきた。
僕はいつも通りに対応するけど、他のギルドマスターはアルス兄様とカーター兄様に臣下の礼をしていた。
あれ?
そういえば他のギルドマスターって、僕に臣下の礼ってしたっけ?
うん、気にしない事にしよう。
僕達も席について、会議を始める事に。
「皆には忙しい所を良く集まってくれた。知っての通り、この後公爵家との戦いが始まる。各ギルドには、色々と協力を依頼したい」
「主に物資の補給と武器の生産で協力したい。クロノの所にもポーションの増産を依頼するぞ」
「「「はい」」」
やはりというか、僕達が呼ばれた理由はこの後ある公爵家との戦いへの協力依頼だった。
この公爵家との戦いが王家にとって一つの山場になるので、是が非でも乗り切らなければならない。
各ギルドマスターも、アルス兄様とカーター兄様の要請に答えていた。
「陛下、武器はどの位用意すればいいんだい?」
「先ずは五百だな。新たに獣人部隊を作るから、彼らの武器が欲しい」
「なら、力がある獣人にあわせた武器を作ろう。彼らには活躍して貰わないとな」
職人ギルドのギルドマスターがアルス兄様に尋ねていたけど、僕達が炊き出しで出会った獣人達が軍に多く入ってきたんだ。
獣人達もとてもやる気になっているらしくて、士気も高い様です。
「装備品は服飾ギルドも協力するよ。何とか現状を変えてもらいたいね」
「そうですな。以前は賄賂とかは当たり前でしたので、この流れを変える必要があります」
服飾ギルドのギルドマスターも使用人ギルドの会長も、古い慣習を変えたいと思っていた。
僕達の薬師ギルドは新しく生まれ変わったけど、以前の薬師ギルドは本当に大変だったもんね。
「皆のご協力に感謝する。我々も新しい社会を作れる様に、全力を尽くす」
「各ギルドマスターへは、宮殿から担当者が個別に向かう。すまんが、細かい所は担当者と詰めてくれ」
「「「畏まりました」」」
アルス兄様とカーター兄様は各ギルドマスターに改めて協力依頼をすると、次の会議があるといって会議室を出ていった。
「アルス兄様もカーター兄様も、本当に忙しいね。僕も手伝えたら良いんだけど」
「クロノはまだ勉強をしないといけないわね。アルスとカーターも、国を良くしようと本当に頑張って勉強をしたのよ」
やっぱりお母さんの言う通り、勉強をしないといけないんだろうな。
まだまだ色々な事を知らなすぎるよね。
すると、使用人ギルドの会長さんがお母さんに話しかけてきた。
「王太后様、もし宜しければクロノ殿下へ家庭教師を派遣いたしましょうか。王太后様もお忙しいとお聞きしますので」
「そうね、私も公爵領の件が片付くまでは忙しいし、家庭教師の派遣をお願いするわ。次いでだから、孤児院のメンバーへの教育もお願いしたいわ」