第九十一話 新しい薬師ギルドの稼働
そして、新しい薬師ギルドが本格的に稼働すると、僕は薬師ギルドマスターとして忙しい日々が始まりました。
普段の勉強をしつつ、執務室で書類を確認しています。
因みに、お母さんはほぼ毎日宮殿に行って兄様達と会議をしています。
公爵家との戦いが近いから、とっても忙しいみたいです。
「エミリアさん。薬師ギルドって前もこんなに忙しかったですか?」
「いえ、ろくでもない会議ばっかりしていました。この様にキチンと仕事をする事はありません」
王都だけでなく各地の薬師ギルドからの書類も届く様になり、エミリアさんと共にとっても忙しいです。
エミリアさんだけでなく、サーニャさんとシエラさんとステファニーさんにも書類確認のお手伝いをしてもらっています。
「ステファニーさん。ポーション作りの人手は足りていますか?」
「はい、大丈夫です。前の薬師ギルドで働いていた人が、再就職してくれましたから」
「それは良かったです。書類整理の人でも欲しいけど、先ずはポーションの増産を優先させましょう」
「そうですね。アンナさんが手伝ってくれていますので、書類はなんとかなりそうですね」
ドリーお姉ちゃんを中心として、元の職員と共にポーションを作っています。
薬草も十分在庫があって、ガラス瓶も十分に納品されています。
書類整理はゴレスお兄ちゃんやララお姉ちゃんやリリお姉ちゃんができないと言ったので、仕方なくアンナお姉ちゃんが手伝ってくれています。
アンナお姉ちゃんは、今度ゴレスお兄ちゃんをシメるって言っていました。
「ごーどんにーに、これでいーい?」
「上手に書けたね」
「えへへ」
執務室の一角では、ゴードンお兄ちゃんがライラちゃんに文字を教えています。
お母さんはいないけど、ゴードンお兄ちゃんのお陰でライラちゃんがとっても大人しくて助かります。
ライラちゃんは目を離すと、直ぐに色々な所に行っちゃうもんね。
「うーん、報告のある領地は旧公爵派や旧宰相派以外の地域ばっかりですね」
「王家に反抗的な地域ばかりですから、仕方ないかと」
「僕としては全ての地域と連絡を取りたいけど、紛争が落ち着くまではどうしようもないですね」
僕はエミリアさんと話をするけど、出来れば全ての地域の薬師ギルドと連携を取りたいなという気持ちはあります。
少しでもこの状況が好転する様に、僕も頑張らないと。
そんな事を思っていたら、一枚の手紙が僕の所に届きました。
「これは、えーっと全ギルドマスター会議?」
「薬師ギルドだけでなく、冒険者ギルドや商工ギルドなどの全てのギルドマスターを集めた会議になります。ここ数年開催が途絶えていましたが、陛下が開催を指示された様です」
「アルス兄様が動いてくれたんですね。僕ももっと他のギルドと連携したいと思っていたんです」
場所は宮殿だし、日程は一週間後だから問題ありません。
その頃には、書類整理も落ち着いて欲しいなあ。
「ただいま。あまり棍を詰めても駄目だよ。昼食にしましょうね」
「お帰りなさい、お母さん」
「おかえりー!」
「ライラちゃんは元気にしていたかな?」
「うん!」
昼食前にお母さんが宮殿から帰ってきたので、書類整理は一旦終わりにして昼食にします。
昼食を食べたら、午後も頑張ろう。