第八十五話 襲撃
ズドーン、ズドーン。
「「「キャー!」」」
突然広場の後方で爆発音が起き、煙が上がりました。
それと共に、広場には悲鳴が聞こえてきます。
「皆さん、落ち着いて。慌てないで下さい」
係の人が大声で群衆を何とかしようとしていたけど、完全にパニックになった人々を制御しきれません。
「やはり、何かをしてきたか」
「爆発を起こす魔導具を使ったのかもしれません」
アルス兄様とカーター兄様も、騎士に護衛を受けながら周囲を見回していた。
恐らくこのタイミングで荒事をしてくるとなると、ほぼ間違いなく元王妃の出た公爵家が犯人だろう。
ズドーン。
バキン!
「あぶないよー!」
「「ライラちゃん?」」
突然どこからか火魔法が飛んできたけど、プンプンしているライラちゃんが魔法障壁で防いだのだ。
スカーレット姉様とリリアン姉様も、ライラちゃんが魔法を防いだ事にびっくりしていた。
「あそこにわるもの!」
「弟くんを狙おうなんて、ふざけた野郎だな」
「「ぶっ飛ばす!」」
「「「ぎゃー!」」
そして、僕達に魔法を放った犯人はライラちゃんによって直ぐに発見され、滅茶苦茶怒っているアンナお姉ちゃんとララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんの襲撃を受けてあえなく撃沈した。
アンナお姉ちゃん、怒りのパワーで家の壁を駆け上がったよ。
「黒いフードを被った人と、三階建ての建物の中にも不審者がいます」
「よし、直ぐに捕まえるのだ」
そして、ドリーお姉ちゃんの探索魔法がさえわたります。
直ぐに他の犯人を特定して、騎士に伝えていきます。
「くっ、くそー! ぐはあ!」
「はい、残念でした」
「ここは通さないよ」
玉砕覚悟で刃物を手に突っ込んできた人もいましたが、騎士と一緒に動いていたゴレスお兄ちゃんとゴードンお兄ちゃんによって防がれました。
そして、犯人が捕まると共に、広場に集まっていた人も落ち着きを取り戻しました。
「広場には、あと犯人が一人です。街の外に逃げている黒い服を着た犯人もいます」
「街の外に逃げたものは尾行せよ。仲間がいるかもしれないぞ」
というか、ドリーお姉ちゃんの探索魔法って凄いなあ。
悪意のある無しだけでなく、その人の服装まで分かるなんて。
流石に集中しすぎたのか、だいぶ疲れている様です。
「最後の犯人を捕まえました」
「警戒を怠るな。再びの攻撃があるかもしれんぞ」
「「「はい」」」
ドリーお姉ちゃんが発見した広場にいる最後の犯人も捕まえたけど、襲撃の後なのでカーター兄様が警戒するように命じていた。
そして、アルス兄様が声を大きくする魔導具を持って、広場に集まっていた人に話し始めた。
「皆の者、広場にいた犯人は全て捕まえた。安心してくれ。怪我人は直ぐに治療を行おう。私は宮殿に戻り、国民を傷つけた者への対応を行う」
「うおー、アルス様!」
「新国王万歳!」
直ぐに犯人を捕まえただけでなく対策も直ぐに行うと言ったので、更にアルス兄様の評価が上がったようだ。
アルス兄様とカーター兄様は、騎士に守られながらステラさんとティナさんと閣僚と共に馬車に乗り込んで宮殿に戻りました。
「スカーレット、リリアン、クロノ、後は孤児院の皆ね。怪我をした人の治療を行いましょうね」
「「「はい!」」」
アンナお姉ちゃん達やゴレスお兄ちゃん達の勲章授与は中止になったけど、もっと大切な事があります。
僕達はお母さんの号令の下、治療を行う準備に入りました。