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第八十四話 宣誓式の開始

「静粛に。新国王アルス陛下が、皆にお言葉を述べられる」


 司会がアルス兄様が話をすると言うと、広場に集まった人達は静まりかえりました。

 そんな中、アルス兄様は声を大きくする魔導具を手に持って話し始めた。


「先代国王の死去に伴い、新たに国王となったアルスだ。先代国王時代の政治は必ずしも良いものとはいえないものだった。国民には苦労をかけて、本当に申し訳ない」


 ここで、広場に集まった人達から戸惑いの声が広がっていた。

 まさかの国王から国民への謝罪があったからだ。

 過去の王国の歴史を振り返っても、国王が国民に謝罪するなど一度もなかったという。

 それでも、アルス兄様は圧政を強いていた前国王、そして前王妃と前宰相の行為を謝りたいのだろう。


「私は、皆と共に新しい王国を作りたいと切に願っている。母上や弟のカーターやクロノ、そして妹のスカーレットとリリアンと共にこの国を変えていく。変えなければならないと、そう思っているのだ」


 アルス兄様の訴える様な話に、広場に集まった人達は静かに聞き逃すことなく耳を傾けていた。

 

「私は皆に誓おう。この国を実り豊かな国にする事を。そして、未来永劫続くこの国の未来を作る事を」

「おー!」

「アルス陛下万歳!」

「新国王万歳!」


 アルス兄様が締めの話をすると、広場に集まった人から大きな歓声と共に万雷の拍手が起きた。

 お母さんもカーター兄様もスカーレット姉様もリリアン姉様も、孤児院の皆も、勿論僕も一生懸命に拍手しています。

 この国を良くしたいと願う、アルス兄様らしい話だった。


「なお、王位継承順は一位をカーター殿下とし、二位をクロノ殿下とする。アルス陛下に男児のお子様がお生まれの際は、お子様が継承権一位となられます」

「カーター殿下!」

「弟殿下!」


 継承権の話になったので、カーター兄様と僕は前に出てお辞儀をします。

 カーター兄様はカーター殿下って言われているけど、僕は相変わらず弟の殿下って言われているなあ。


「また、アルス陛下の正妻として軍務卿閣下のご令嬢ステラ嬢が、カーター殿下の正妻に内務卿閣下のご令孫ティナ嬢にそれぞれ決定した事も併せて報告する」

「確か、巡回に出ていたよなあ」

「炊き出しにも参加していたぞ」

「まさか、王妃様と殿下の正妻だったとは」


 ステラさんとティナさんの紹介になると、集まった人は巡回や炊き出しで見た事のある女性にびっくりしていた。

 この前の炊き出しで、二人とも大立ち回りしていたもんなあ。

 ステラさんとティナさんの事は、街の人の印象にも残っている訳だ。


「クロノ殿下のご母堂マーガレット様が王太后様となられます」

「確か弟殿下のお母さんだよな」

「優しい人だったよな」

「というか、すっげー綺麗だよなあ」


 お母さんはまだ若いから、とっても綺麗だもんね。

 前王妃がケバケバした姿だったから、余計に綺麗さが目立つみたい。

 あと、お母さんも炊き出しによく参加するから、街の人にとっても知られています。

 こんな感じで、アルス兄様の挨拶と僕達の紹介も無事に終わりました。

 後は孤児院の皆への勲章の授与だけなんだけど、ここで事件勃発です。

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