第八十三話 主役の到着
ガラガラガラガラ。
「あ、お母さん到着したかな?」
宣誓式が始まる前に、広場の前に豪華な馬車が数台やってきました。
宮殿でも見た事があるけど、間違いなく王族用の馬車だ。
馬車が止まると、騎士が周囲を警護する中で馬車のドアが開いた。
「クロノ、待たせたな」
「またもや活躍をしたそうだな」
「アルス兄様、カーター兄様」
馬車から出てきたのは、アルス兄様とカーター兄様だった。
続いて、お母さんとスカーレット姉様とリリアン姉様も馬車から降りてきました。
皆お披露目用の服を着ていて、とっても綺麗です。
しかし、皆が不審者を発見したのをもう知っているのか。
流石の情報収集能力です。
「私達もやってきたわ」
「お待たせしました」
「わー、きれー!」
ステラさんとティナさんも、綺麗なドレスにティアラを付けて馬車から降りてきました。
ライラちゃんが、ステラさんとティナさんの周りをくるくると飛んでいます。
「クロノ、不審者がいたと聞いたけど大丈夫だった?」
「はい、皆が守ってくれました」
「そう、それは良かったわ。後でお礼をしないとね」
お母さんは広場で不審者が現れたと聞いて、とても不安そうでした。
やっぱり色々な組織から狙われる可能性もあるよね。
「しかし、これは凄い歓声だな」
「今までこんな歓声は聞いた事ないぞ」
「王族の事を、街のみんなが認めてくれているんですね」
「私達もしっかりとしないといけませんね」
街の人はアルス兄様やカーター兄様に大きな歓声を送っていて、アルス兄様とカーター兄様も街の人の歓声に応えています。
非難する様な声は全く無く、新しい王を歓迎する声が殆どです。
何故か弟殿下と、僕の事を呼ぶ声も聞こえてきます。
「兄上、不審者もいたとなると早めに宣誓式を始めても良いかと思います」
「私もそう思う。街の人も準備万端といった感じだ。少し早い分なら問題ないだろう」
思った以上に街の人が集まっているので、カーター兄様の進言で宣誓式は少し前倒しで行われる事になりました。
お母さんや姉様達に閣僚も宣誓式を早める事は問題ないそうなので、急ピッチで準備が進んでいきます。
「弟殿下、兄ちゃんはイケメンだなあ」
「アルス兄様もカーター兄様も、とってもカッコいいですよ」
「やっぱり、イケメンが良い格好をしていると様になるねえ」
「僕もそう思います」
王族らしいキチンとした格好をしているから、アルス兄様とカーター兄様はおっちゃんからも好評です。
若くてイケメンのアルス兄様とカーター兄様だから、女性からの歓声もとても大きいです。
「クロノは本当に街の人に愛されているな」
「この歓声も、クロノのおかげだ」
「街の人がとっても優しいからですよ。僕も色々と助けられています」
会場の準備が整ったので、僕達はステージの中央に集まります。
僕はアルス兄様とカーター兄様と話をするけど、僕の方が街の人に助けられているよ。
「それでは、新国王の宣誓式を始める」
「「「わー!」」」
おっと、司会の挨拶があって広場の歓声が一段と大きくなった。
アルス兄様とカーター兄様がポンと僕の頭を撫でてくれた後、とても凛々しい顔になりました。
僕も頑張らないと。