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第七十四話 みんなの帰宅

「ドリーお姉ちゃん、ライラちゃんがいないとちょっと静かだね」

「そうね。ライラはいつも誰かとお喋りしているからね。まあ、今日はカルメンさんがいるから静かって訳じゃないけどね」

「ははは、確かにそうだね」


 いつもは工房を動き回っているライラちゃんがお母さんと一緒に宮殿にいるので、若干静かな工房です。

 ドリーお姉ちゃんの言う通り、カルメンさんの豪快な笑い声が聞こえてくるので、騒々しさは余り変わらないのかもしれない。

 そして、騒々しさが倍増する小さな台風が帰ってきた。


「どりーねーね、ごーどんにーに、くろのにーに、ただいま!」

「「「お帰りなさい」」」


 お昼過ぎに、お母さんとスカーレット姉様とリリアン姉様と一緒にライラちゃんが帰ってきた。

 ライラちゃんが帰ってきて、一気に工房が賑やかになったなあ。


「あ、おばあちゃんだ!」

「お帰り、ライラちゃん。お仕事しっかりしてきた?」

「うん! わるいひと、いっぱいみつけたよー!」

「ははは、そりゃ頑張ったな!」


 そしてライラちゃんは、早速カルメンさんと話し始めて益々賑やかになった。

 賑やかな者同士、ライラちゃんとカルメンさんは気が合う様だ。


「お母さん、姉様も、そんなに沢山の怪しい人を見つけたんですか?」

「元から怪しいとピックアップしていた連中だったけどね。ライラちゃんは何が怪しいってまで言っていたから、とても助かっちゃった」

「お兄ちゃんもとても喜んでいたよね。早速裏付け捜査を行うって言っていたよ」

「直ぐに犯罪を犯す様な危険人物はいないって言っていたから、宣誓式後に一気に動くって」


 今までの捜査に加えてライラちゃんの悪魔的直感が加わったのだから、怪しい人はほぼアウトなのだろうな。

 そりゃアルス兄様とカーター兄様も、捜査に集中できるから喜ぶだろう。

 

「ただいま!」

「あんなねーね、おかえり!」


 そして巡回班も帰ってきた。

 早速ライラちゃんが、アンナお姉ちゃんへお帰りなさいのダイブをしに行ったぞ。


「おやまあ、ステラちゃんじゃない」

「カルメンのおばさん。お久しぶりです」


 そして、何故かステラさんもアンナお姉ちゃん達と一緒に工房に入ってきた。

 カルメンさんは、相変わらずっていった感じでステラさんと話をしていた。

 うーん、もしかしてカルメンさんって凄い人なのかな?


「アンナお姉ちゃん、今日はどうだった?」

「うーん、段々と不審者の数は減ってきたかな。代わりに旧公爵領からの不審者が増えてきたよ」

「ありゃりゃ、王都で何かをやる気満々だね」

「だよね。宣誓式迄に片っ端から捕まえていくよ」


 おお、アンナお姉ちゃんがメラメラとやる気を出している。

 と言っても不審者を捕まえるのは兵の仕事だし、危険な事は無いはずだよね。


「アンナちゃんはかなり強いよ。今日も不審者を一発ノックアウトしていたし」

「ステラさんもかなりのものかと。ゴレスはもうちょい頑張らないとね」

「あんたらが真っ先に不審者に突っ込むからでしょうが! 少しは周りの心配する気持ちを知ってくれよ」

「「えー」」

「えー、じゃない!」


 おお、珍しくゴレスお兄ちゃんがヒートアップしているけど、まさかアンナお姉ちゃんとステラさんが真っ先に不審者を捕まえているとは。

 ま、まあ皆もすっかり仲良くなっているし、ちょっとした怪我ならララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんが治せるから大丈夫だと思いたい。

 大丈夫、だよね?


「因みに、今日はティナと一緒に男爵家にお泊まりの予定よ」

「明日の炊き出しにも、一緒に参加する事になりました」

「まあ、炊き出しに参加するのは街の人に顔を売る意味もあるのよ。前王妃は宮殿に閉じこもっていて、街の人は前王妃を見た事がないのよ」

「わーい」


 そして、まさかのお泊まり宣言。

 既にお母さんと話がついているので問題ないと思いたいけど、怒涛の勢いで事が決まっていくぞ。

 ライラちゃんがステラさんとティナさんが泊まる事を喜んで、二人の周りをくるくると飛んでいる。

 そして、ステラさんとティナさんは僕とゴードンお兄ちゃんの方を指差した。


「今日はクロノ君とゴードンちゃんと一緒に寝ますわよ」

「王太后様にも許可を貰いました。今夜が楽しみです」

「「えー!」」


 僕とゴードンお兄ちゃんがお母さんの方を見ると、お母さんはウインクを返してきた。

 昨日僕とゴードンお兄ちゃんと一緒に寝られなかったので、ステラさんとティナさんは今日こそはと思っていた様だ。


「じゃあ、らいらはごれすにーにといっしょにねるー!」


 そして、相変わらずの危機察知能力でライラちゃんはゴレスお兄ちゃんと寝ると宣言してしまった。

 こうなると、他の女性陣も手の出しようがない。


「あ、そうだ。クロノ君とゴードンちゃんとはお風呂も一緒に入るのよね」

「ええ、私も楽しみですわ」

「私も、息子達と一緒に入りますわ」

「「えー!」」


 更にステラさんとティナさんは、僕とゴードンお兄ちゃんを女風呂に連れて行くと言ってきた。

 お母さんも、ステラさんとティナさんと共に一緒にお風呂に入ると宣言してきた。

 こうなると、女性陣とマーサさんもお風呂に一緒に入る事になる。

 僕とゴードンお兄ちゃんは、思わず顔を見合わせてガックリと項垂れてしまった。

 僕とゴードンお兄ちゃんにとって、今日は長い夜になりそうだ。

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