第七話 孤児院での生活がスタート
僕が冒険者の男女に保護されてから、だいたい一か月位かな?
僕を取り巻く環境も変わって、少し落ち着きました。
「ぷにぷにだね」
「ぷにぷにしているよ」
「じー」
僕はいまベッドに寝かされていながら、両方のほっぺをむにむにされています。
ムニムニしているのは、人間のお姉さんと犬獣人のお兄さん。
そして、猫獣人のお姉さんも僕の事を覗き込んでいます。
どうも、赤ちゃん特有のぷにぷにのほっぺをつっついて、感触を堪能しているようです。
ここは僕が捨てられた森の近くの領にある孤児院で、僕達みたいに捨て子が集まっている場所です。
なんだか懐かしいなあ。
僕は前世でも孤児院出身だったから、懐かしさがこみ上げてくるよ。
前世の孤児院でも新しい仲間ができたら、僕もこんな感じで見ていたよ。
そして同じ様に、赤ちゃんのほっぺをぷにぷにしていたり手を握ったりしていたなあ。
今は逆に僕が赤ちゃんなので、他の人から見られている立場です。
ここの孤児院には色々な種族の子どもがいて、天使族の子もいたし、くま獣人の赤ちゃんもいた。
そういえば僕を助けてくれたお姉さんはエルフらしいし、ドワーフってのもいるという。
この世界には人族だけでなく色々な人種がいるんだな。
そんな中、僕も森に捨てられて拾われたのでこの孤児院の仲間入りって訳だ。
たまに会う周りの人の話を聞く限り、今は国民の暮らしが貧しくてどの領地でも捨て子がいるという。
この男爵領も小さい領地だけど、毎年捨て子が発生しているんだって。
因みに、僕はまだ生後一か月の赤ちゃん。
助けられてから暫くは、あのギルドマスターの奥さんから乳を貰っていた。
奥さんは小さくてとても美人さんだったよ。
ギルドマスターと一緒に並ぶと、リアル美人と野獣だった!
でも、ギルドマスターも奥さんもどっちもデレデレだったよ。
そして、この孤児院にきてからは、孤児院のある街に住んでいる人のお母さんから乳を分けてもらっていた。
それこそ、獣人やエルフにドワーフ、更には鬼人族やオーガ族ってのもいたよ。
はたまた、天使族や悪魔族って人もいたなあ。
正直な所、人族から乳をあまり分けてもらっていなくて、記憶が確かならお母さんとギルドマスターの奥さんだけな様な気がする。
そして、赤ちゃんなので、感情や気持ちも赤ちゃんに近くなっています。
うーん、こればっかりは仕方ないかも。
だって、いま女の人のおっぱいを見ても、乳が飲める! としか思えないんです。
これが昔の記憶と感情のまんまだったら、おっぱいを見て喜ぶただの変態さんです。
さて、孤児院と言いつつここは一軒家で、各部屋に色々な人が集まっている。
僕は赤ちゃんなので、同じく小さい子どもの熊獣人や天使族の双子と一緒の部屋になっています。
他の少し大きくなった子は、性別で部屋を分けて生活しているそうです。
因みに、僕は日中でも夜でも寝ている事が多い。
普通の赤ちゃんの生活リズムです。
大きくなった子どもが下の子の面倒を見ている様で、院長といった教会の人っぽい人以外は他にスタッフを見た事がないなあ。
その院長って人も、一回見たきりだった。
院長って、普段は何をやっているのだろうか?
うーん、こんなんで経営は大丈夫なのかとても心配です。
その為に、街の人や冒険者がたまに僕達のお世話を手伝ってくれています。
差し入れを持ってきたり、いらなくなった服を持ってきてくれます。
たまに僕を拾ってくれた冒険者と大きな犬もやってきます。
大きな犬は、相変わらず僕のお顔をぺろぺろと舐めていきますが。
普段僕は赤ちゃんで何も出来ないので、お乳をもらって、うんこをして、寝るという日々を送っていました。
そうして、気がつけば僕が孤児院に来てからもうすぐ五年の歳月が流れていました。