第六十一話 大人達が悪巧み?
そして、炊き出しにもお姉さん達がついてきてくれる様になった。
ポーションの抽出に使用した薬草も、ばっちり再利用します。
「薬師ギルドでは、使い終わった薬草は全て廃棄していました」
「普通に食料として再利用できるんですね」
「他にも、色々利用価値がありそうですね」
お姉さん達は、炊き出しのスープに再利用されている薬草にびっくりしつつ更に再利用の事も考えてくれている。
ここも、お姉さん達と色々検討してみよう。
「どーお?」
「おお、痛みが良くなったよ。ありがとうな」
「えへへ」
ライラちゃんは笑顔で治療を行うので、相変わらずお年寄りに大人気だ。
どんな病気に魔法が効いて、どんな病気にポーションが必要なのかを調べないといけない。
なので、バンザスの街の治療研究所に勤める予定の人が、色々とデータを取ってくれています。
「まさか、ここでアンタと再会するとはね」
「私もびっくりですよ。でも、そんなに多くの人が薬師ギルドを辞めているんですね」
「もう薬師ギルドは崩壊寸前だよ。泥舟に乗るつもりがない人は、どんどんと逃げているよ」
データを取っている人の中に豪快なおばちゃんがいて、シエラさんと話をしていた。
薬師ギルドから治療研究所に再就職する人は結構多くて、大抵は物事を冷静に見れる人だ。
そして、優秀な人も多いので治療研究所としてもとてもありがたいという訳だ。
「おばちゃん、薬師ギルドってそんなにやばいの?」
「おお、弟殿下かい。それに王太后様だね。薬師ギルドにはもうボケた幹部しかいないから、現実問題ポーション作りも生薬の研究もできないね」
「うーん、これは由々しき問題ね。近い内に薬師ギルドには監査が入るけど、もしかしたら解散命令が出るかもしれないわね」
薬師ギルドは色々問題を起こしたので、監査が入るのは僕も知っている。
でも、そもそもポーション作りもできないのでは、薬師ギルドが存在する意味があるのかとっても疑問だ。
「あ、そうだ。簡単な解決策があるよ」
「そうだね、とっても簡単に薬師ギルドが改善する方法があるよ」
と、ここでスカーレット姉様とリリアン姉様が元気よく手を上げてきた。
何だか嫌な予感がするな。
「弟君が薬師ギルドマスターになっちゃえば良いんだよ!」
「弟君はポーション作りの達人だから、薬師ギルドにばっちりだよ!」
「無理無理、僕はまだ五歳だよ!」
姉様達、何という無理難題をいってくるの!
まだまだ子どもの僕には、組織の運営は無理だよ!
僕は思わずお母さんの方を向いたら、お母さんとおばちゃんが何だかニヤニヤして話をしていた。
「王太后様、弟殿下が薬師ギルドマスターに着くのはとても良いアイディアでありませんか?」
「ええ、クロノが王子になった事に箔をつける事もできますし、専属侍従もおります。それに、優秀な秘書候補もおりますので」
「えー!」
お母さんとおばちゃんが、とっても良い笑顔をしていた。
そしてお母さんとおばちゃんは、マーサさんとお姉さん達に声をかけていた。
「クロノ殿下のお役に立てるのなら、私は全力でサポート致します」
「きっとクロノ殿下なら、薬師ギルドを立て直す事ができます」
「私達も全力でお手伝いします」
「街の人の為になるのなら、喜んでお手伝いしますわ」
あーあ、マーサさんもお姉さん達も物凄くやる気になっちゃった。
そして数人の役人が、僕が薬師ギルドマスターになるのはとても良い案だと馬に乗って宮殿へ走り出していた。
な、何だか僕の知らない所で話が大きくなってきているぞ。
「それなら、クロノには薬師ギルドへの監査にも同行して貰いましょうか?」
「ええ、元々王命での監査ですので、王族であるクロノ殿下が監査に参加しても全く問題ありません」
そしてお母さんとマーサさんは、更に薬師ギルドへの監査にも僕が参加した方が良いと言い出してきた。
そして、護衛についてきている騎士と何やらヒソヒソ話を始めた。
嗚呼、もしかしたら数日はとても忙しくなるかもしれないぞ。