第六十話 ポーション作りがパワーアップ!
お姉さん達が屋敷にきてくれてから、ポーションの生産性も上がった。
やはり大人の手が加わると、作業効率も格段に良くなっている。
「薬草を煮出す際に魔力が抽出されているのを見ておられますので、魔力を検知する魔導具が使えるのではないでしょうか?」
「魔力を検知する魔導具はとても簡易的ですので、もしかしたら市販の物も使えるのでは?」
「私、魔導具ギルドに知り合いがいますので、話を聞いてきます」
先ずお姉さん達が取り掛かったのは、魔力を検知する魔導具が使えないかという事だった。
僕達はポーションの精度を高める為に、魔法を使える僕とライラちゃんが抽出できたタイミングを測っていた。
お姉さんが考えたのは、誰もが最適なポーションができたタイミングを知る方法だ。
確かにこの方法が確立出来たら、ポーションを作る人を増やす事も出来る。
時間がある際に、お姉さんだけでなく魔力が使えないアンナお姉ちゃんやゴレスお兄ちゃんにゴードンお兄ちゃん、更にはスカーレット姉様とリリアン姉様も魔導具を試している。
ちなみにララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんは魔法を使えるけど、残念ながら細かく魔力を検知する事は出来ない様だ。
他の人と一緒になって、魔導具を使って色々検証を行っていた。
少しずつ成果が出ているそうなので、皆には頑張って貰いたいです。
そして、改良しているのはもう一つ。
ポーションを空き瓶に入れる際に、小さい漏斗と瓶ピッタリの量が入る小さな柄杓を考案した。
早速商会に作って貰うと、とっても便利で皆から大好評。
「これは良いな。すげー使いやすいぞ」
「あんたはポーションをよく溢すのよね」
「うるさいわ!」
もはや夫婦漫才の領域に達しているゴレスお兄ちゃんとアンナお姉ちゃんだけど、確かに漏斗を使えばこぼさないし小さい柄杓丁度一杯でポーションを充填できる。
作業効率が上がって、万々歳だ。
勿論、お姉さん達は書類整理も品質管理も生産管理もバッチリ。
お姉さん達は容姿だけで薬師ギルドに選ばれたと言われたけど、凄い有能な人だ。
「お母さん、何で薬師ギルドはお姉さん達を解雇したんだろう?」
「薬師ギルドに人を見る目がなかった、と言えましょう。残念ながら未だに権力争いが薬師ギルド内で起きていて、欲望が渦巻いているのよ」
「そうなんだ。となると、まだ薬師ギルドを辞める人も出てきそうだね」
工房に顔を出していたお母さんと話をしていたけど、未だに薬師ギルド内はゴタゴタしているんだ。
となると、当分の間は僕達が頑張ってポーション作りをしないといけないのか。
でも、薬師ギルド内のゴタゴタを考えると、お姉さん達は屋敷に来て本当に良かったんだな。
「できたよー!」
「お、もしかして上手く計測できたか?」
「結果が楽しみね」
と、ここでポーションの出来るタイミングを計測していた皆が喜びの声を上げていた。
懐中電灯みたいな計測器の微調整の成果が出たのか、ライラちゃんのできたよー合図とピッタリで計測ができた様だ。
計測をしていたゴレスお兄ちゃんとアンナお姉ちゃんが、良い笑顔でお互いの顔を見合わせている。
これから更に微調整を行えば、誰でもポーション作りが出来るようになる。
「じゃあ、今度は毒消しポーション用の魔力検知計測器の調整を行わないとね」
「ええ! まだやるのかよ」
そして更にやる気を出したアンナお姉ちゃんに、ゴレスお兄ちゃんがツッコミを入れていた。
でもお姉さん達のおかげで、少しづつポーション作りの作業効率が改善していった。
まあ、薬草のストックがないので、ポーション作りにも限界があるけどね。