表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/125

第五話 ギルドで僕の取扱いを決めます

「おーい、ギルドマスター。捨て子がいたぞ!」

「はあ? 昨年もくま獣人の子が捨てられていて、その前も別の種族の子どもが捨てられていたぞ」


 大きい犬が僕がいた籠を見つけてからどれくらいたったのかな?

 僕はギルドという施設に着いた。

 因みに僕の入っている籠は、何故か大きな犬が咥えていた。

 何だか大きな犬が、僕が見つけた物だから離さないって感じだ。

 大きな犬が籠を咥えていた為か、またもや前後にぐわんぐわんと揺れてしまったので、僕はまたグロッキー状態になってしまった。

 どうも周りの人の話では、僕の他にも捨て子がいたらしい。

 もしかして景気が良くないのかな?

 うーん、国の情勢が悪いのかもしれないぞ。


「あと、籠にこんな封筒が入っていた。何かこの子の手がかりが入っているかもな」

「個室に移動しよう。周りの人に聞かれるとまずい事が書いてあるかもしれないぞ」


 ギルドマスターといういかつい顔の傷だらけの大男の提案で、僕も含めてギルドという建物の個室に移動した。

 うーん、まだ少し頭がぐわんぐわんとしているが、別問題として何だかお腹が空いてきた気がするぞ。


「はあ、これは何ということか。我が子、クロノをよろしくと書いてあるぞ」

「おや? 他にも何か入っているぞ」

「これはペンダントだね。この紋章、見覚えがあるわ」


 個室に移動して、皆が僕の籠に入っていたという封筒を見ています。

 因みに僕は未だに籠の中で、籠が床に置かれていて大きな犬が護衛してくれています。

 ギルドマスターという大男は母親からの手紙を読んでいたけど、一緒に入っていたというペンダントって何だろう?


「この紋章はこの前依頼を受けた事があるから分かるわ。ライングライド男爵の紋章よ」

「そっか、そういう事か。全てが繋がったぞ」

「繋がったって、ギルドマスター何か分かったのか?」

「ああ、ちょっとまずい事だ」


 ちょっとまずい事って一体何だろう?

 うーん、何だか話が良くない方向に向いてきたぞ。

 そして、僕のお腹の空き具合もだいぶ良くないぞ。


「陛下が息子の教育係の女性を孕ませたって噂は知っているか?」

「知っているぞ。街でもかなりの噂になったな。女好きの放蕩王もそこまでいったとはってね」

「ああ。その教育係ってのが、ライングライド男爵出身って訳だ」

「じゃあ、その子って王子様って事?」

「間違い無いだろう。ここまで特徴的な金髪は王家以外あり得ない」


 あの、とっても重い話になってきているんだけど。

 僕の出生にそんな秘密があったなんて。

 お母さんが陛下に襲われて、結果として生まれた子どもが僕なんだ。

 となると、この前僕の前に現れた金髪と銀髪の兄って王子様なんだ。

 だからお母さんが僕を森に捨てるという、色々と面倒な事になったのかな。

 それだと、お母さんがとても可哀想だよ。

 僕としては、グーグーなっているお腹の事の方が大事なんですけど。


「下手に男爵家にも伝える事はできねえな。二人の王子のどちらかを王位につけるという混乱は知っているが、その混乱に更に拍車をかける事になる」

「じゃあ、この子はどうするんだ?」

「手紙だけつけて、孤児院に預ける。ペンダントは俺が預かる。軍部にツテがあるから、それとなく情報を探ってみるわ」

「軍部は国の為に中立を保っているから、何か手がかりを得られるかも知れないね」


 うーん、僕の事について色々と話をしているが、僕も空腹が限界だ。

 頭が回らなくなってきたぞ。

 という事で、失礼します。


「おぎゃあ、おぎゃあ!」


 こういう時は泣くに限る。

 だって、今の僕は赤ちゃんだし。

 すると、大人三人が僕の方に寄ってきた。

 大きな犬も僕の事を見ているぞ。

 相変わらずドアップなので、僕からは犬のお鼻しか見えないけど。


「お、盛大に泣いているな。腹が減ったのか?」

「そういえば、保護してから何も食べてないな」

「うちの子がまだ乳飲み子だから、母ちゃんに乳を分けて貰うわ」


 ほっ、どうやら空腹は何とかなりそうだ。

 やっぱり赤ちゃんだから、泣いて意思表示をしないと。

 僕の事もとりあえずどうにかなりそうだし、そもそも赤ちゃんで動けないから暫くは大人しくしよう。

 その間に、色々な事が動いてくれればいいな。

 また、お母さんに会いたいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ