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第四十三話 朝の武術訓練

 翌日は、朝食前に魔法と武術の練習です。

 皆で早朝の中、屋敷の庭に集まります。

 

「では、訓練を始めましょうね」

「「「はい!」」」


 武術の講師は、何とお母さん。

 これも教師役として武術が扱えるのは当然の事なんだって。

 今更ながら、お母さんって凄いなあ。

 今日は簡単な剣術の練習です。

 お母さんも含めて、全員体にあった木剣を持っています。

 僕はダガータイプの木剣で、何故かライラちゃんもダガータイプの木剣を持っています。


「では、今日は素振りをして課題を見つけてみましょう」

「「「はい」」」


 先ずは素振りをして、どこが悪いかを見つけるという。

 僕達は最初にお母さんから素振りのやり方を教えてもらって、その後は声を合わせて素振りをします。


「いっち、にい、さん、しい」


 素振りをする僕達の周りを、お母さんが見てまわります。


「アンナちゃんとドリーちゃんは、綺麗な素振りができているわね。そのまま続けてみてね」

「「はい」」


 流石はアンナお姉ちゃんとドリーお姉ちゃんだ。

 あっという間に素振りのコツを掴んでいて、お母さんからも褒められている。


「ゴレスくんは手振りになっているわね。もっと下半身に重心を意識しないと、簡単に倒れちゃうわよ」

「おっとと! えっ? こんなに簡単に倒れるのか!」


 ゴレスお兄ちゃんはお母さんの持っている木剣でちょこんと体を押されると、バランスを崩して倒れてしまった。

 お母さんの的確な指摘に、ゴレスお兄ちゃんはびっくりしている。


「ゴードンちゃんは、どっしりと腰が座っていて良いわね。この調子で続けてね」

「えへへ、頑張る!」


 ゴードンお兄ちゃんは力持ちってのもあるけど、素振りをする姿勢の安定感が抜群だ。

 お母さんに頭を撫でられて、ゴードンお兄ちゃんもとっても良い笑顔だ。

 

「ララちゃんとリリちゃんは短剣なのだから、剣の根元で切る感覚で素振りをしてね」

「「はーい」」


 ララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんはは魔法がメインだけど、冒険者として剣も習っている。

 それでもお母さんは、二人の的確に問題点を見抜いているぞ。


「スカーレットとリリアンは、あと一歩踏み込んでみましょう。そうすれば体も上手く使えるわ」

「「はい!」」

 

 スカーレット姉様とリリアン姉様は、傍目から見ると綺麗な素振りをしている様に見える。

 でも、お母さんから見るとまだまだの様だぞ。


「クロノはとてもバランスが良いわね。そのまま素振りを続けてね。ライラちゃんもクロノをよく見て真似をしてね」

「はい」

「あい!」


 僕はというと、現時点での合格点を貰った様だ。

 僕の真似をしているライラちゃんも、楽しそうに素振りをしていた。


「はい、一旦休憩ね」

「「「はい、はあはあ」」」


 お母さんの合図で素振りを終えた僕達は、はあはあと良いかながら地面に座り込んだ。

 そしてお母さんは、とある人に対して別の確認をしていた。


「ゴレスくん、ちょっと柔軟してみて」

「えっ、あ、はい」


 お母さんはゴレスお兄ちゃんに開脚前屈をする様に言った。

 すると、ゴレスお兄ちゃんはガッチガチに体が固かった。


「ゴレスにーに、変なかっこー!」

「ゴレス、あんた固すぎよ。流石にそれはないわ」

「アタタタ! 押すな! 背中を押すな!」


 ロボットみたいなゴレスお兄ちゃんの格好に、ライラちゃんはキャッキャしていた。

 そしてアンナお姉ちゃんは、遠慮なくゴレスお兄ちゃんの背中を押していた。


「うーん、ゴレスくんはちょっと体が固すぎね。動きがぎごちないから、もしかしてと思ったのよ」

「うう、あっさりと見破られるとは……」

「柔軟性がないと筋トレしても怪我しやすいから、当分は剣技の前と後にしっかり柔軟体操しましょうね」

「はい……」


 こうして、剣技とは別にゴレスお兄ちゃんだけ別メニューが追加された。

 こればかりは誰も何も言わなかったし、ゴレスお兄ちゃんも柔軟の重要性を分かっているので素直に従っていた。

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