第四十一話 一安心です
お母さんも少し落ち着いた所で、バーサックさんとリリーナさんがここにきた理由を聞かないと。
「クー、クー」
因みにライラちゃんはというと、いつの間にかヴォルフに抱きついたまま寝てしまった様だ。
ウォルフも、大きい尻尾でライラちゃんの事を包んであげている。
やっぱりヴォルフは、とても賢いね。
丁度お昼寝の時間でもあるし、このままにさせてあげよう。
「一つは、お前らの様子を見にきたのもある。突然王都に行ったから、上手くやっているかと思ってな。まさか、王子様になっているとは思わなかったぞ」
成程、いつも孤児院に差し入れをしてくれたし、バーサックさんは僕達の事を気にかけて当然だって表情をしている。
「そして、こっちが本命だね。薬草を持ってきたよ」
「わあ、沢山ありますね」
「クロノ君が頑張ってポーションを作っているって聞いてね。他の冒険者も手が空いた時に薬草を採ってくれているよ」
「とっても助かります」
リリーナさんが、マジックバックっぽいバックから沢山の薬草を出してくれた。
王国からきちんと報酬も出ているそうで、冒険者としても有難いという。
これからも、定期的に薬草を届けてくれるそうだ。
そして、このシステムを知ったアンナお姉ちゃんがゴレスお兄ちゃんに一言。
「ゴレス、良かったね。これで当分は冒険者活動を行わなくて済むし、勉強に集中できるわね」
「えー!」
「ララ、リリ。あなた達もしっかりと勉強しないとね」
「「えー!」」
更にララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんにも飛び火してしまい、冒険者チームも毎日勉強する事が確定してしまった。
「それでは、午前中は皆で勉強して午後はポーション作りとかにしましょう。冒険者している子は、武術訓練も教えて貰いましょうね」
「「「はーい」」」
「あと、勉強を始める前に、剣技と魔法の訓練も行いましょう。特にクロノは貴族として剣を使えるのは必須になるからね」
「はい」
お母さんの方針で、メリハリをつけたスケジュールになった。
一日中勉強をしなくて良くなったので、ゴレスお兄ちゃんもララお姉ちゃんもリリお姉ちゃんも思わずホッとしていた。
「うん、この分なら大丈夫だな。マーガレット様、皆の事を宜しくお願いします」
「マーガレット様なら、安心して孤児院の子どもを任せられそうです」
「はい、お任せ下さい。皆可愛い子どもですから、大切に育てますわ」
バーサックさんとリリーナさんは今の状況に安心した様で、お母さんに僕達の事をお願いすると言っていた。
お母さんも、ニコリと二人に返答していた。
これでバーサックさんとリリーナさんの用事は終わった様だ。
帰り支度をしながら入り口の方を見ていた。
そして、思わず皆して入口を見て苦笑してしまった。
「「クー、クー」」
ライラちゃんだけでなく、枕にされていたヴォルフもいつの間にか寝息を立てていたのだ。
しょうがないなあといった表情で、バーサックさんとリリーナさんはもう一度椅子に座ったのだった。