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第三十九話 珍しい人族の魔法使い

 昼食後は、予定通りに屋敷の離れでポーション作りです。

 この離れは普段使ってなかったらしく、僕が宮殿に行っている間に綺麗にしてくれたんだって。

 かまどもあるみたいで、ポーション作りをするにはバッチリの環境です。

 

「へえ、ポーションってこんなふうに作っているのね」

「まるで研究所みたい!」


 初めてポーション作りの現場に来たスカーレット姉様とリリアン姉様は、器具が並んでいるテーブルの上を見て興奮気味に話をしています。

 といっても、そんなに大掛かりな機材はないんだけどね。

 準備は着々と進めていて、既に大きな鍋では屋敷の井戸から組んできた水を沸騰させています。


「井戸から汲んだ水をそのまま使わないで、沸騰させてから使っているのね。衛生にも気をつけているのね」

「飲んで使う物だから、念の為にだよ。それに、沸騰させた水の方が綺麗だし」


 流石はお母さん、水を沸騰させている理由に直ぐに気がついた様だ。

 ポーションを飲んでお腹を下したら、それこそ大変な事だもんね。


「よし、じゃあポーションの空き瓶を洗っておくぞ」

「ゴレスお兄ちゃん、お願いね」


 ゴレスお兄ちゃんは力仕事を率先して行ってくれるので、とっても頼りになります。

 もしかしたら、午前中勉強ばっかりで体を動かしたいのかもしれないな。

 

「じゃあ、私達は薬草を洗っておくね」

「こっちのザルを借りるよ」

 

 恐らくゴレスお兄ちゃんと同じ理由で、ララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんも率先して体を動かしていた。

 三人の様子を見て、直ぐに意図に気付いたお母さんはクスリとしていた。

 そんな周りの様子を見ながら、僕はいつも通りに薬草を処理していきます。


「へえ、薬草を煮る前に水につけているんだね」

「苦くならない様に下処理をしているんだ」

「だから、弟君のポーションは苦くなかったんだ」


 薬草を煮る前の下処理をしていると、姉様達が僕の両側から興味深そうに薬草を浸している鍋を見ていた。

 僕も普通に販売しているポーションを試飲した事があるけど、確かに苦くて不味かったよね。

 アク抜きが終わったら、沸騰した鍋で薬草を煮て成分を抽出します。

 僕達は、ここからが腕の見せ所です。


「よし、できた!」

「おっけーだよ!」

「じゃあ、濾すよ」


 僕とライラちゃんが、成分が十分に抽出されたのを見計らって声をかけた。

 力持ちのアンナお姉ちゃんが、鍋を持ち上げて布を張った別の鍋に移しながら濾してくれます。

 そんな僕達の様子を見ながら、びっくりした表情でリリスさんとフルールさんが声をかけてきたぞ。


「で、殿下、い、今」

「魔法? えっ?」


 あ、そうか。

 リリスさんとフルールさんは、僕が魔法で鍋を鑑定したのを見てびっくりしたんだ。

 普通人間と獣人は魔法を使わないけど、悪魔族とエルフのリリスさんとフルールさんは人間の僕が魔法を使った事にびっくりしたようだ。

 それに対して、リリスさんとフルールさんと同じく僕が魔法を使える事を知らないはずのスカーレット姉様とリリアン姉様は至って冷静だった。


「弟君は王族の血を継いでいるから、簡単な魔法が使えるってお兄様が言っていたわ」

「確か謁見の間でも、魔法使っていたよね」

「「あっ」」


 どうも王族の血を引いていると、魔法を使える事があるらしい。

 先代国王は魔法が使えなかったので、リリスさんとフルールさんは完全に忘れていた様だ。


「王族は多種族の血を引いていると言われているから、普通の人よりも魔法を使う事ができるのよ。それにハーフの人も魔法を使えるから、人間や獣人が魔法を使えないっていうのは厳密には違うのよ」

「へえ、そうなんだ」


 お母さんが姉様がしてくれた説明の補足をしてくれたけど、確かに他種族の人とのハーフもいるだろうね。

 他の面々も、お母さんの説明に納得したって表情だった。

 

「殿下、取り乱してしまい申し訳ありません」

「大変失礼いたしました」

「いえいえ、僕が魔法を使えると伝えていなかったのもありますから」


 リリスさんとフルールさんが僕に謝罪してくるけど、何も問題ないよね。

 この件はお母さんがきちんと説明してくれたので、一件落着です。

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