第三十八話 午後の予定
皆で話をしていたら昼食になったので、ポーション作りは一旦中断して屋敷に戻ります。
「あら、マーサも孤児院出身なのね。なら、クロノの育った環境も良く分かっているし安心だわ」
お母さんにマーサさんの事を改めて説明すると、僕の育った孤児院出身なので更に安心だという。
因みにマーサさんもそうだけど、リリスさんとフルールさんも僕と違うけど孤児院出身だという。
なので、孤児院のメンバーと同じくお母さんが後ろ盾になってくれるそうです。
流石にマーサさん達は、お母さんの事を母上とは言わなかったけどね。
「くろのにーに、ごはんたべたらいっしょにいていい?」
「良いよ。午前中頑張って勉強したみたいだからね」
「やたー!」
午後は離れでポーション作りをするだけだし、いつもライラちゃんも一緒だから全く問題ない。
ライラちゃんはとても嬉しいのか、全身で喜びを表していた。
「私もどんなふうにポーションを作っているか、とても興味あるわ」
「私も!」
「弟君がポーションを作っているのを、見てみたいな」
お母さんに姉様達もポーション作りに興味を持った様なので、午後の僕の予定は決定です。
その前に、昼食をしっかりと食べないと。
皆でモリモリとご飯を食べます。
侍従は別の部屋でご飯食べるらしいので、マーサさん達は食堂から移動していっちゃった。
皆でご飯を食べるのが当たり前なので、ちょっと残念です。
「ご飯うめー!」
ゴレスお兄ちゃんは午前中の勉強で疲れたのか、ご飯をバクバクと食べています。
よっぽど勉強が大変だったんだな。
いつもは騒がしいララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんも、今日は少し大人しめです。
そんな中、お母さんが僕に勉強の事で話しかけてきました。
「クロノ、基本的な礼儀作法なら私が教えてあげるわ」
「お母さん、礼儀作法も教える事ができるの?」
「こう見えても王族の教師役ですから。皆の前に立っても恥のない様にしないとね」
凄い、お母さんは勉強を教える教師役だと思っていたんだけど、礼儀作法も教える事が出来るんだね。
そして、ここでお母さんが皆にニコリと微笑みながら言葉を続けていた。
「折角だし、他の人も礼儀作法の勉強をしましょうね。クロノ関係で偉い人に会う可能性は高いし、これからの事を考えても礼儀作法は覚えていて良いでしょう。勿論、スカーレットとリリアンもビシバシと行くわよ」
「「「「「えー!」」」」」
あらら、全員礼儀作法の勉強をする事になっちゃった。
アンナお姉ちゃんとドリーお姉ちゃんはうんうんと頷いているけど、姉様達に加えてゴレスお兄ちゃんとララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんが絶望的な声を上げている。
「らいら、がんばる!」
「僕も!」
「ほら、ライラちゃんとゴードンちゃんも頑張るって言っているのだから、ここはお兄さんとお姉さんも頑張らないとね」
ライラちゃんとゴードンお兄ちゃんがやる気を見せていると、お母さんはうまく二人を利用して年長者組に発破をかけていた。
こうして、僕を含めて全員が明日から礼儀作法の勉強をする事になったのだった。