第三十七話 勉強の予定
僕は勉強部屋を出て、屋敷の侍従の案内で屋敷の離れに向かいます。
屋敷の離れで、アンナお姉ちゃんとドリーお姉ちゃんとゴードンお兄ちゃんがポーションを作っています。
ポーション作りは火を使うから、屋敷が火事になったら大変だもんね。
「皆様、クロノ様がお戻りになられました」
「あら、クロノお帰り」
「ただいま、アンナお姉ちゃん」
屋敷の侍従が僕の帰宅を告げてくれた。
近寄ってきたアンナお姉ちゃんにただいまの挨拶をしてマーサさんの事を紹介しようとしたら、何故だかアンナお姉ちゃんとマーサさんがお互いの事を指差して固まっていた。
えーっとお口もあんぐりと開けていて、あんなにびっくりした表情のアンナお姉ちゃんは初めて見たぞ。
ドリーお姉ちゃんとゴードンお兄ちゃんも作業する手を止めて、なんだなんだとこちらにやってきた。
因みに屋敷の侍従は仕事があるというので、屋敷に戻った。
「いやー、びっくりした。まさかマーサお姉様が、クロちゃんの専属侍従になるとは」
「私も、アンナがここにいてびっくりしたわ。でも、確かにちょうど成年になる年齢だったわね」
お茶を飲みながら、お互いの事を話していた。
何とマーサさんは、僕達のいた孤児院出身だという。
因みにマーサさんと面識があるのは、今の孤児院のメンバーではアンナお姉ちゃんだけだという。
アンナお姉ちゃんは珍しいドラゴニュートだから、マーサさんの記憶に残っていたという。
「クロちゃんの専属侍従にマーサお姉様がなるなら、私はとても安心だわ。マーサお姉様は面倒見がとても良くて、クロちゃんにピッタリだわ」
アンナお姉ちゃんの太鼓判も出たので、マーサさんはニコニコとしていた。
後は、この後の事を話さないと。
そう思ったら、マーサさんが僕の予定を話してくれた。
「クロノ殿下には、礼儀作法の勉強とポーション作りに対応頂きます。国民向けへのお披露目の為と、炊き出しと無料治療の為となります。様々な勉強は、無料治療の後の予定です」
「成程ね。孤児院で育ったクロちゃんなら、庶民の事もよく分かるし適任だね」
「それなら、私達も頑張ってポーションを沢山作らないと」
マーサさんの話した内容に、アンナお姉ちゃんとドリーお姉ちゃんが頷いていた。
そっか、僕も皆の前に出るから、礼儀作法の勉強もしないといけないね。
「僕も、頑張ってお手伝いします」
「ええ、よろしくお願いしますわ」
ゴードンお兄ちゃんもふんすとやる気になっていて、そんなゴードンお兄ちゃんの頭をマーサさんが撫でていた。
というか、僕は知っている。
屋敷の離れに来た時に、マーサさんがモフモフのゴードンお兄ちゃんを見て手をわきわきさせていた事を。
今もマーサさんは、満面の笑みでゴードンお兄ちゃんの頭を撫でている。
やっぱり、もふもふふわふわのゴードンお兄ちゃんの毛並みは、誰もが撫でたくなっちゃうよね。
お風呂にも入れる様になったから、より一層ゴードンお兄ちゃんの毛並みがもふもふになっているんだ。
今度、僕もゴードンお兄ちゃんの毛並みを堪能させてもらおう。