第三十六話 皆に専属侍従を紹介
僕の用事はこれで終わりらしいので、マーサさん達と共に屋敷に戻ります。
帰ったら街の人の為に、いっぱいポーションを作らないと。
そんな事を思っていたら、あっという間に屋敷に到着です。
「お帰りなさいませ、宮殿からの侍従の件も伺っております。先ずは中にどうぞ」
既にマーサさんの事で宮殿から屋敷に連絡が行っていたのか、出迎えてくれた侍従はあっさりとマーサさんの事にも対応してくれた。
先ずはお母さんに挨拶ということなので、勉強部屋となっている部屋に向かった。
「あら、クロノお帰りなさい」
「にーに、おかーり!」
「ただいま戻りました」
「「「「「うーん、うーん」」」」」
勉強部屋になっている部屋に向かうと、勉強している面々が唸りながら問題を解いていた。
お母さんは、ライラちゃんに文字の読み方を教えていた所だった。
「クロノ、宮殿では何かあった?」
「これからの事とか宮殿内の部屋とか教えてもらったよ。後、僕専従の侍従のマーサさんだよ」
簡単に何があったかをお母さんに説明して、マーサさんをお母さんに紹介した。
マーサさんはカーテシーをして、お母さんに挨拶をした。
「王太后様、マーサと申します。今後ともどうぞ宜しくお願い致します」
「ええ、息子の事をどうか宜しくね」
マーサさんがお母さんの事を王太后様と言っているけど、これは前王妃が捕まって身分や称号の全てを剥奪された事にも関連している。
そして僕のお母さんでもあるので、王太后の称号を得る事になったのだ。
これも、今後正式に周知されるという。
「リリスとフルールは、悪いけどスカーレットとリリアンの勉強をみてくれない? 私は他の人の勉強をみるわ。ああ、二人にはスパルタモードで良いわよ」
「「畏まりました」」
「「えー!」」
お母さんはリリスさんとフルールさんと顔見知りらしく、姉様達の勉強をみてくれと頼んでいた。
思わず姉様達が悲鳴をあげる辺り、リリスさんとフルールさんは相当ハードモードで教えるのだろうな。
そしてお母さんは、いつの間にか姉様達の事を呼び捨てで呼んでいた。
今後の事もあるし、もしかしたら姉様がお願いしたのかもしれない。
「僕はポーション作りに専念したいと思います」
「街の人の為にも、クロノもできる事を頑張らないとね」
炊き出しまでに沢山ポーションを作らないといけないので、僕は勉強部屋を後にする事にします。
「へあ……」
勉強部屋の扉を閉じる時、ゴレスお兄ちゃんの口から魂が抜けかけているのを見た。
何だかよく分からない言葉を漏らしているし、頭が疲れ切っている様だ。
うん、今日は勉強止めておこう。