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第十八話 急遽王都へ

「クロちゃん、ドリーもお疲れ様」

「にーに、ねーね、おつかれ!」


 兄が宣誓する前日の夕方、僕とドリーお姉ちゃんはポーション作りを何とか終えていた。

 今はゴレスお兄ちゃんとゴードンお兄ちゃんに加えてララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんが、僕達が作ったポーションをギルドまで運んで貰っているよ。

 アンナお姉ちゃんから甘いジュースを貰って一息。

 うーん、甘いものが体に染み渡るよ。

 僕に抱きついてきたライラちゃんの頭を撫でながら、そんな事を思っていた。

 可能な限りポーションと毒消しポーションを作ったから、これで何とか一息ついて欲しいなとこの時は思っていたんだ。


 ところが、事態はいきなり急変する。

 ギルドに納品しにいったお兄ちゃんとお姉ちゃん達が帰ってきたかと思ったら、焦った様子のギルドマスターが一緒に孤児院へ入ってきた。

 

「クロノ、ドリー、強力な毒消しポーションはまだ作れるか?」

「はい、念の為に材料を残してあります」

「それは良かった。すまんが大至急作ってくれ。強力な毒を盛られた人がいる」

「それは大変! 直ぐに準備します」

「頼む。俺は一旦ギルドに戻るから、準備ができたら呼んでくれ」


 ギルドマスターがあそこまで焦るとは、きっと王国の大物が毒におかされたのかもしれない。

 もしかしたら、兄だったりするかもしれないぞ。

 焦る気持ちを抑えつつ、僕とドリーお姉ちゃんは直ぐに準備を始める。

 といっても、今回はビーカーを使うので直ぐに準備完了。

 毒消し草を洗って水に漬けてアクを取ったら、軽く刻んでビーカーの中に投入。

 ビーカーの中に、僕達が作ったポーションを入れて温めていきます。

 強力な毒消しポーションを作るときは、何故かポーションと毒消し草を入れてから温めないと出来ないんだよね。

 じっくりコトコトと成分を抽出していけば、強力な毒消しポーションの完成です。

 

「オッケー!」

「僕の鑑定でも問題ないよ」

「じゃあ、冷ましている間に空の瓶を用意しましょうね」


 強力な毒消しポーションは一度作ったことがあるので、もう一回作るのは簡単だ。

 僕の鑑定でも、ライラちゃんの直感でも問題なく強力な毒消しポーションができたのを確認した。

 後はゆっくりと冷まして、不純物を濾しながら空の瓶に入れれば完成。

 前回と同じく四本分を作ることができました。

 よし、これでギルドに持っていけば良いって時になったら、再びギルドマスターが孤児院にやってきた。


「急だが、今回はお前らも現場に同行する事になった。着替えはいいから、戸締まりはしっかりしろよ」

「お前らって、私達もですか?」

「そうだ。孤児院全員だ」


 アンナお姉ちゃんがギルドマスターに聞き直してくれたけど、強力な毒消しポーションを作った僕やドリーお姉ちゃんはともかくとして、孤児院全員で移動するとは。

 一体何があったのだろう?

 そんな疑問を持ちつつ、僕達は出来上がった強力な毒消しポーションを小さな箱に入れて急いでギルドに向かいます。


「何だか、大きな馬車がギルド前に止まっているなあ」


 孤児院からギルドまではとても近いので直ぐ着くのだが、ゴレスお兄ちゃんが言う通り大きな馬車がギルド前に止まっている。

 しかも男爵領でも見る旅客用の馬車よりもずっと豪華だ。

 そんな馬車を尻目に、僕達はギルドに入ります。


「おう、すまんな。一応確認するから、出来上がった物を持ってきてくれ」

「あっ、はい」


 ギルドに入ったら早速ギルドマスターが僕達に声をかけてくれたけど、一瞬返答に遅れてしまった。

 ギルドの中には豪華な鎧を着た人が何人もいたんだよ。

 冒険者も大人しくしているし、既に大問題が発生している予感がするよ。

 絶対に毒を盛られた人と関係がありそうだ。

 孤児院の他のメンバーも何かがあると思っていて、皆で身を寄せ合っていた。


「よし、オッケーだ。じゃあお前ら行くぞ」

「行くって、何処にですか?」

「これから王都だ。ギルドの前に止まっていた馬車で行くぞ」

「「「えー!」」」


 ギルドマスターの発言に皆ビックリ。

 こうして、僕達は一路王都に向かう事になったのだった。

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