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第十三話 強力な毒消しポーションの完成!

 ぽこぽこ、ぽこぽこ。

 

 ビーカーの中でことことと毒消し草を煮込んで、有効成分を抽出していきます。


「上手くいくかな?」

「きっと上手くいくよ」


 空き瓶をいっぱい貰った翌日、僕とドリーお姉ちゃんは強力な毒消しポーションの作成に取り掛かっています。

 本で見たのだと、ポーションと毒消しポーションを合わせて煮詰めるってあったけど上手くいかなかったんだ。

 なのでドリーお姉ちゃんと相談して、毒消し草をポーションで煮込んでみたらという推測が立った。

 

 ぽこぽこ、ぽこぽこ。


 良い感じに毒消し草の成分が、ポーションの中に溶けていっているのが色を見ても分かる。

 ポーションは薄い青色だけど、段々と緑色が混ざってきた。


「いーよ!」

「そうだね、上手く成分が抽出できた様だよ」

「じゃあ火を止めて冷ましましょうね」


 僕は鑑定を使って見極めるけど、ライラちゃんは何故か勘でちょうど良いタイミングを見分けるんだよね。

 魔法が発動した気配もないし、ライラちゃんって凄い!


 試作品の強力な毒消しポーションを冷ましている間に、今度は普通のポーションと毒消しポーションを作ります。

 実は僕達は、ポーションと毒消しポーションを作る時に一工夫しているのです。

 それは、薬草や毒消し草を煮る前に、短時間葉っぱを水に漬けてアク抜きをしている事です。

 普通のポーションとかは苦いのが常識と言われているみたいですけど、何とか苦くないポーションを作れないかと試行錯誤している時に、料理上手のアンナお姉ちゃんからヒントを貰ったんだ。

 結果、苦味が抑えられたポーション毒消しポーションが作れるようになりました。


「じゃあ、鍋を火にかけるね」

「火傷しない様に気をつけてね」

「はーい」


 鍋に火をかけて、水を沸騰させます。

 僕達は蒸留水を沢山作れないので、代わりに必ず沸騰させた水を使います。

 これはアンナお姉ちゃんにも言われている事で、元々の井戸水がとても綺麗なので沸騰させると鑑定でもきれいな水って出てきます。

 沸騰したら、あく抜きを終えた葉っぱをもう一回水で洗って鍋に投入します。

 因みに薬草はそのままで、毒消し草は包丁で軽く刻んでおきます。

 色々実験した結果、毒消し草には一工夫をする様にしたんだ。

 均一になる様によくかき混ぜて、ある程度抽出したら火を止めます。

 実はあまり強い火をかけっぱなしにすると苦くなってしまう事が分かったので、鍋の余熱でじっくりと有効成分を抽出します。

 僕達のポーションはこうやって作るけど、最初に貰った本の手順とは随分かわったんだよね。

 その間に、さっき作った強力な毒消しポーションを瓶に詰めておこう。


「ドリーお姉ちゃん、さっきの強力な毒消しポーションが冷めたから、こして空き瓶につめるね」

「怪我しないようにね」

「はーい」


 もう手慣れている作業とはいえ、ドリーお姉ちゃんは僕に注意してくる。

 そんな声を聞きながら、僕は手早くちっちゃな漏斗を使って瓶に詰めていきます。


「出来た!」

「おお! ぱちぱち」


 全部で四本の強力な毒消しポーションが完成。

 ライラちゃんも拍手して喜んでいます。

 さてさて、中身を鑑定してみましょう。

 おお、凄い結果がでたぞ。


「ドリーお姉ちゃん、鑑定できたよ。通常の毒消しポーションの四倍の効能で、しかも普通のポーションの効能もあるって」

「おお、いい結果だね。毒消し草も多く使うし鍋で作る時の分量も確認しないといけないから、当分はビーカーで作ろうね」

「僕もそれが良いと思います」

「ライラも!」


 さすがはドリーお姉ちゃん。冷静に作成手順を確認している。

 どっちにしても毒消し草の使用量が多いから、今は大量生産はできない。

 さて、ポーションを詰めていきますか。

 僕はドリーお姉ちゃんと一緒に納品分のポーションを詰めていきました。


「ただいま、お姉ちゃん帰ったよ」

「アンナねーね!」


 全部の作業が終わった所で、冒険者組が孤児院に帰ってきました。

 ライラちゃんは、早速アンナお姉ちゃんの元へパタパタと飛んでいきます。


「アンナお姉ちゃん、お帰りなさい」

「お、台所も綺麗にしてくれたんだね」

「いつも使っているからね」


 アンナお姉ちゃんがライラちゃんを抱っこした状態で台所に入ってきました。

 そうなんです、僕達がポーションを作っているのは台所なんです。

 火を使うしポーション作り専用の部屋もないので、台所を使っています。

 ポーションを作り終わったら、アンナお姉ちゃんがお料理しやすいように綺麗にしています。

 使ったらお片付けするのは当たり前だよね。


「アンナお姉ちゃん、ゴレスお兄ちゃん。新しい強力な毒消しポーションができたんだよ」

「あら、凄いわね。それで、明日ギルドにポーションを納品する時に一緒に持っていくんだね」

「流石はアンナお姉ちゃん。その通りだよ」

「よし、じゃあクロノはその毒消しポーションを大事に持っていけ。兄ちゃんが他のポーションを持ってやるぞ」

「ありがとう、ゴレスお兄ちゃん!」


 夕食の時に今日の成果を報告すると、アンナお姉ちゃんもゴレスお兄ちゃんも直ぐに僕が言いたいことを分かってくれた。

 明日の朝は皆でギルドに行く事になったんだ。

 さて、ギルドの人がどんな反応をするかちょっと楽しみだ。

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