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第百十二話 カーター兄様が出発して二週間

 カーター兄様が、軍とともに公爵領に向かって二週間が経ちました。

 今日は、戦況の報告があるので宮殿に向かいました。

 ステラさんとティナさんも、会議に参加していました。


「結論からいうと、カーターたち本隊が到着する前に先発隊によって公爵領兵は倒された。カーターたちは公爵領の領都に入り、関係者の捕縛とともに治安維持に当たっている」

「良かった……」


 アルス兄様が簡単に説明すると、ティナさんはホッと胸を撫で下ろしていました。

 公爵領内は大混乱していて、殆ど戦闘も起きなかったそうです。

 とにかく、大きな戦いも起きることなく、無事に戦闘は終わったそうです。

 ここからは、現地の人を支援するのが目的になります。


「捕まえたものは、順次王都に送られて裁判にかけられる。その辺りは、軍が主導で行う。非常事態宣言も解除する」


 矢継ぎ早に色々なことが決まっていくので、僕もホッとしています。

 やっぱり、人が亡くなるのは嫌だもんね。

 そして、税制改革も順調に進んでいるという。

 数年かけて、徐々に元の税率に戻していくそうです。


「後は、教育関連も進めないとならない。国民の教育水準が上がらなければ、より近代的な成長も見込めない」


 そういえば、前世の世界で日本が近代化に成功したのは日本の教育力の向上があったっけ。

 アルス兄様は、いち早く教育の大切さに気がついたんだね。

 教育に関してはお母さんも重要だと思っているし、僕もできるだけお手伝いしたいですね。

 すると、お母さんがこんなことを言ってきました。


「そういえば、炊き出しの時に文字が読めないって言っている人がいたわ。文字が読めないことで、社会的に不利になっている人もいるって実感したわ」


 商会とかで働いている人ならある程度の教育水準はあるけど、何も教育を受ける機会がない人は会話は出来ても文字は読めないもんね。

 そういう意味だと、僕たち孤児院の人たちって恵まれていたのかもしれないね。


「先ずは、軍と宮殿で働くものを中心に勉強を進める。学校も空いている屋敷を使用しよう」


 こうして、色々な話をしつつ会議は終わりました。

 そして、屋敷に帰ろうとしたら、お母さんがこんなことを言ってきた。


「ちょうどクロノたちは良い具合に年齢がバラけているから、クロノたちをモデルケースにして勉強の為の情報を集めましょう」


 ということで、お母さんの提案を僕も受けることになりました。

 さっそく屋敷に帰って話をすると、今日は屋敷にいたゴレスお兄ちゃんがしみじみと話をしていた。


「いやあ、とにかく文字が書けて本当に良かったと思うぞ。冒険者ギルドには、文字の書けない冒険者もたくさんいるからな」


 依頼書も読めない人もいるらしく、職員がイチから説明することもあるそうです。

 うーん、これって思ったよりも問題になっているかもしれないね。

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