第百九話 王宮での会議
そして馬車に乗って屋敷から王宮に到着すると、直ぐに会議室に案内されました。
実は、この後重要会議が控えているからです。
アルス兄様とカーター兄様、それにお母さんももちろん席についています。
そして、僕が席に着いたところでアルス兄様が話し始めました。
「いよいよ、明日カーター率いる本隊が王都を出発する。軍の毒騒ぎもほぼ問題なく鎮圧し、準備も整った」
公爵家の妨害を受けたりもしたけど、いよいよカーター兄様が公爵領に向かって出発することになるんだ。
軍の施設での毒騒ぎで消費した毒消しポーションも無事に追加納品完了したし、ポーションも多めに納品しました。
更に、カーター兄様には強力な毒消しポーションも五本持って貰いました。
「ついては、戦況が落ち着くまでは準非常事態宣言を発令する。店は十二時までの営業とし、夜間は非常時を除いて外出禁止令を出す。その代わり、日中はクロノを中心として奉仕活動を行って住民に不満が溜まらないように気を配る」
アルス兄様の話に、僕もコクリと頷きます。
僕は町の人とも仲が良いので、できるだけたくさんお手伝いしないとって思っています。
もちろんポーションもたくさん配布するし、ゴレスお兄ちゃん、アンナお姉ちゃん、ララお姉ちゃん、リリお姉ちゃんの市内巡回も続けます。
「ただ、派手な出発式は行わない。不審な誰かが紛れ込んでいる可能性もあるので、見送りは最低限にする。アルスやティナなどは、見送りに参加してもらうよ」
ティナさんの他に、ステラさんやお母さんもカーター兄様の見送りに行く予定です。
ライラちゃんやゴードンお兄ちゃんも、多分ついてくる可能性高いね。
「カーターが帰ってくるまでの間、クロノは勉強を頑張ってもらおう。薬師ギルドもうまく回り始めたみたいだし、子どもらしく勉強が中心だな」
アルス兄様だけでなくカーター兄様やお母さんも思わずくすくすとしちゃったけど、戦況が落ち着くまではどこにも遊びにも行けないね。
でも、ライラちゃんとかと屋敷内で遊ぶのは良いかもしれません。
ティナさんとドリーお姉ちゃんが仲良くなって、色々お話しているのもホッとしたことみたいです。
こうして僕の話をしたら、ここからは難しいお話をするので僕は会議室を後にしました。
そして、王宮内の僕の部屋に行ってお母さんが会議を終えるのを待ちます。
「うーん、やっぱり早く争いは終わって欲しいなぁ。孤児院にいた頃は生きていくので精一杯だったけと、人が死ぬのは嫌だなって思うんだ」
「クロノ殿下は、とてもお優しいです。国王陛下もカーター殿下も、争いが広まって無用な人が亡くなるのを防ごうとしております。皆さま、本当に心優しい方です」
ソファーに座りながらマーサさんとお話をしたけど、大変な目にあったからこそ生きていくことが大切だと思っています。
前世もとても苦労していたし、今もこうして大変な中です。
僕にできるのはポーション作りと勉強をすることだけなんだけど、今はできることを一生懸命やるしかないですね。
こうして、お母さんが僕の部屋に来るまで、少しゆっくりとしていました。