第百七話 不審な冒険者?
そして、僕はギルドマスターとしてのお仕事をしつつ、空いた時間でティナさんと一緒にポーション作りのお手伝いをしていきます。
ティナさんも自分が作ったポーションと毒消しポーションがとっても役に立ったと知って、元気を取り戻してやる気になっています。
「じゃあ、軍の駐屯地に行ってくるわね」
「クロノも、気を付けて作業しろよ」
「「頑張ってくるよ!」」
「いってらっしゃーい!」
アンナお姉ちゃんとゴレスお兄ちゃんに加えて、ララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんはよく軍の施設に行っています。
なんでも、ララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんの天使的な勘を使って、兵の中にいる悪い人を捕まえているみたいです。
本当はライラちゃんの悪魔的な勘が一番凄いけど、ライラちゃんはまだ三歳なのでゴードンお兄ちゃんと一緒に勉強するのが優先です。
因みに、視察名目でステラさんも軍服に着替えてアンナお姉ちゃん達と一緒に行動しています。
「クロノ、お客さんよ」
「お母さん、ありがとう。直ぐに行きます」
「ご一緒いたします」
「らいらもいくー!」
お母さんはアルス兄様とカーター兄様と一緒にお仕事をしているので、王宮に泊まる事が多いです。
公爵家討伐隊が出発するのがあと少しなので、とっても忙しいみたいです。
お母さんはとっても頭が良くて物知りなので、物凄く役に立っているそうです。
今日はたまたま男爵家に戻ってきているので、薬師ギルドのお手伝いをしています。
僕は、マーサさんとライラちゃんと一緒に執務室から応接室に向かいます。
因みに、スカーレット姉様とリリアン姉様は、王宮での勉強がとっても忙しいそうです。
「あっ、ギルドマスター。それに、バーサックさんとリリーナさんも」
「よう、忙しいところ悪かったな」
「きゃははは!」
「ウォフ」
応接室にいたのは、久々にあった旧バンザス男爵領のギルドマスターとバーサックさんとリリーナさんでした。
ライラちゃんは、大の仲良しのオオカミのヴォルフとじゃれていました。
そんな中、ギルドマスターがある情報を教えてくれました。
「王太后様も同席してくれて助かった。公爵領に冒険者が集まっているみたいだが、どうも不良冒険者が何も知らない新人冒険者などをスカウトしている様だ。王都のギルドマスター経由で各地の冒険者ギルドに周知して警戒した結果、だいぶ落ち着いたみたいだ」
「私もその情報を耳にしました。何も知らない新人冒険者を騙すやり方は、とても許せません。何とか離反させる事が出来ないかと思っております」
とっても酷いやり方をする冒険者がいるんだ。
お母さんも深刻そうな表情をしているし、僕もプンプンしているよ。
「申し訳ないのですが、現在軍の中を調べているメンバーに冒険者ギルドも調べて貰えないかと依頼しにきました。依頼書もあります」
「確かに受け取りました。さっそく、午後から巡回をさせましょう。こういうのは早めに手を打った方が良いですね」
「即決即断して頂き、感謝します。バーサックとリリーナも同行させます」
うん、こういうのは早めに手を打った方がいいね。
アンナお姉ちゃん、ゴレスお兄ちゃん、ララお姉ちゃんとリリお姉ちゃんは冒険者だし、冒険者ギルドに入っても全く問題ありません。
方針が決まった所で、今度はお母さんが話をしました。
「そういえば、御三方はどこに泊まりますか?」
「私は王都ギルドマスターのところに向かいます。二人は、これから宿を決める予定です」
「そうですか。では、是非とも我が家に泊まって下さい。あなた方はクロノの恩人でもありますし、精一杯おもてなしさせて下さい」
「わーい、お泊りだ!」
ヴォルフは赤ちゃんの僕とライラちゃんを発見したから、バーサックさんとリリーナさんが僕の恩人で間違いないんだよね。
孤児院メンバーにとっても恩人だし、僕も大歓迎です。
ライラちゃんは、ヴォルフに抱きつきながら喜んでいます。