第百話 お母さんに報告
夕食の時にお母さんも帰ってきたので、今日あった各ギルドマスターによる薬師ギルドの視察について報告します。
「流石はギルドマスターね。指摘のあった所はもっともだから、改善をする様にしましょうね」
「はい。エミリアさんも既に動いてくれていますし、もっと皆が働きやすい環境にします」
お母さんもにこりとして、僕に話しかけてくれました。
何にせよ、突然だったけど視察がうまくいって良かったです。
そして話は家庭教師の件になります。
「確かにそう上手く行かないわね。今はどこも優秀な人材が引っ張りだこだし、しょうがないわ。紹介してくれた薬草採取のプロに色々聞いてみましょう」
「もしかしたら、普段から薬草採取に慣れている人の方が薬草について詳しいかも」
「意外とそういう事はあるわ。先ずは試してみましょう」
逆にいうと、薬草に詳しい人は少ないのかもしれない。
ドリーお姉ちゃんなら、アカデミーの先生になれるかもしれないね。
「実は教育について話を進めているのよ。読み書き計算ができるレベルであれば教師のレベルも高くなくて済むのよ。教科書を整理しないとならないけど、ここに丁度良い人がいるのよ」
「「??」」
僕がギルドマスターから提案された住民への読み書き計算の話をお母さんにすると、既にお母さんは話を進めていたという。
そしてお母さんは、ゴードンお兄ちゃんとライラちゃんの方を向いた。
ゴードンお兄ちゃんもライラちゃんも、お肉を食べながらはてなって表情になっているよ。
「これから読み書き計算を始める人にはライラちゃんを参考にして、ある程度読み書き計算ができる人向けにはゴードンちゃんを参考にしようと思っているの。クロノは読み書き計算が完璧だから除外されるけど、出来上がった教科書は目を通して貰うわよ」
「おお、らいらがんばるー!」
「僕もお母さんのお手伝いを頑張ります」
確かにお母さんの考えは一石二鳥の面もある。
ゴードンお兄ちゃんとライラちゃんに勉強を教えつつ、教科書も作ってしまえって事です。
ゴードンお兄ちゃんもライラちゃんも、お母さんの提案に大賛成です。
実はライラちゃんもゴードンお兄ちゃんも、薬師ギルドが本格的に稼働してから少し手持ち無沙汰になっていたんだよね。
「もう少ししたら担当も決まるから、決まったらこの屋敷で一緒に教科書を作る事になるわ」
「担当者は屋敷へ通いになるんですか?」
「そうよ。全員が王都に住んでいる人だから、屋敷に通うには問題ないわ」
普段宮殿に務めている人だから、通いは全く問題ないのか。
まあ薬師ギルドにも空き部屋があるし、万が一の時には全く問題ないですね。
「あと、公爵家への対応は継続中よ。今は話せない事が多いけど、クロノはクロノのやる事をやっていけば良いのよ」
「はい。僕はポーションを作る事に注力します。多くの人を助けられる様に、皆で頑張ります」
公爵家への対応は機密扱いだから、お母さんも気軽に話せない。
でも、僕は僕でやる事を頑張ろう。
こうして、色々あった一日も何とか終了です。