罰則
教授【○○君 至急□研究室に来なさい】
さっき講義していた教授からのメッセージだった
私「…やば」
思わず呟いてしまう
教授からの呼び出しは初めてだったからだ。
猫「にゃー?」
猫は後ろで私を見て鳴く
私「おまえのせいだぞー?」
猫の頭をピンと指で弾く
猫「ふにゃ」
私[あー…絶対さっきのやつだよな…]
私「はぁ…」
メールを見てまたため息をつく
猫「にゃー」
猫は私の足に頭を擦り付ける
私[…マーキング?]
しばらく待ってから葵にメッセージを送る
私【ごめん、帰るの遅くなる】
私[帰りになんか買ってくか…]
スマホをポッケに入れて路地裏を出る
猫は相変わらず私に付いてきていた
私[…入りたくねぇ]
教授の研究室の前で立ち止まる
私[確定で怒られるよな…]
下をみらっと見ると猫が相変わらず付いてきていた
私[まあ…覚悟はするか…]
研究室の扉をノックする
教授「誰だい?」
私「○○です」
教授「入りたまえ」
私「失礼します」
私は扉を開ける
研究室は本に囲まれており、教授は腕を組んで深く椅子に座っていた
少し威圧感を感じる
教授「さて…なんで呼ばれたと思う?」
私「この子の件ですよね…」
ちらっと猫の方を見る
教授「そうだ…まあ座りなさい」
私「はい…」
椅子に座ると私の体は沈む
私[めっちゃいい椅子だ…]
そして猫は私の膝の上に乗る
私「…」
教授「…はぁ」
教授は深くため息をついて話す
教授「君は私のゼミの人間だ…一応把握はしている」
私「把握…ですか?」
猫は私の手にしっぽを回すがさすがに撫でれない
教授「君…最近来てなかっただろう?」
私「…はい」
教授「君の頭は悪くは無いがこの大学には無理して入っている。そして大学でついていけなくて交友関係もなく、引きこもった。どうだ?」
私「概ねあってます」
教授「君のことは実は少し気にはしていたんだ…まあいけ好かない人間だが生徒だ。それに君は常に死にそうな顔をしていたからね…」
そう言うと教授はカップを口に着けて何かを飲む
教授「ふぅ…まぁ私は君に対して何かを起こす気はなかった…だが今日問題が起きた」
私「この子が女生徒を引っ掻いたことですよね?」
教授「そうだ…まあこの学校は動物を持ってきては行けないという決まりはないから目を瞑っていたが害が出た。」
私「…」
教授「当然だがその猫は大学に持ち込み禁止、君も何かしらの罰則がある。分かるな?」
私「…はい」
私[そりゃあそうか…]
顔が下がる
泣きそうになるからだ
教授「…私が何も見てないならな」
私「…え?」
顔を上げる
教授「行っておくがお前がサボってるのもわかってるからな?スマホいつもいじって…まあ今回はそれはいい」
私[バレてたのか…]
教授「んで、お前の周りに人が集まってるから珍しいなと思って見てたら一悶着あったわけだ…」
全く気づかなかった
私「見てたんですね…」
教授「あぁ…あんな大人しい猫が威嚇をしているわけだから驚いたよ…」
私「私もです…」
教授「まあ大方無理やり撫でようとしたんだろ?」
私「はい…一応威嚇してたから止めたんですけど…」
教授「まあそれなら正当防衛というかなんだ…まあしょうがないな…」
教授はカップを私の前に置く
そしてティーポットを取り出す
教授「まあ飲みたまえ…紅茶だ…」
教授がいれた紅茶はまだ湯気がたっており、作ってからそんなに時間が経っていないことが分かる
私「いただきます…」
紅茶を飲む
スッキリとした味でかなり美味しい
私「とても美味しいです…」
教授「だろ…私の紅茶を入れる腕は人に自慢できる…」
しばらく紅茶を味わう
教授「その…リンちゃんだっけ?」
私「はい…」
教授「君には随分懐いてるようだが…単純に聞こう…どうしてだ?」
私「それが…私もさっぱりで…」
教授「ふむ…」
教授が猫に近づくと猫は教授に威嚇をする
猫「フシャー!!」
教授「すまないすまない…手は出さないから許してくれ…」
教授は半ば諦めた表情で両手をあげる
教授が下がると猫は再び私の膝の上で丸くなってしっぽを私の手に巻き付ける
教授「撫でてあげな…もうこの際いい…」
私「あー…すいません…」
猫を撫でると猫はもっとと言わんばかりに私の手をしっぽにまきつける
教授「本当にその猫は君に懐いているな…羨ましいよ」
教授はメガネをかけ直して椅子に座る
私「あはは…」
思わず苦笑をする
教授「さて…君に対する処分を言い渡そうと思う」
私「っ…はい…」
教授「反省文1200文字だ…期限は決めないが出来るだけ早く出せ…そうだな…一週間にしよう…」
私「はい…」
教授「以上だ」
私「はい!?」
教授「なんだ?まだ欲しいか…?」
私「いえ…それは無いんですが…」
教授「まあもしリンちゃんが急に噛んだとかならかなり重い処分だがこの子は大人しいし君に随分懐いている…無理に撫でようとしなければ私に襲わないし平気だろ…」
私「そう…ですか…良かった…」
教授「何が良かったんだ?」
私「いえ…もしこの子に何かされたらと…」
教授「ふむ…」
教授は顎に手を当てる
教授「どうやら君の評価を改めるべきだな…」
私「え?」
教授「いや、気にするな…」
私「はぁ…」
教授「…」
教授は何かを考えている
私「あの…」
教授「なんだ?」
私「女学生達はなんと…?」
教授「あぁ…あいつらなら…」
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「教授!!」
教授「なんだ…?」
「あの講義の時にいた猫に引っかかれたんです!!」
教授「あの黒猫か?」
「えぇ…急に引っ掻いてきて…あの男の責任じゃないですか?」
教授「はぁ…まあ対処はしておく…とりあえず保健医のところに行ってきなさい…」
「お願いします!!」
バタン!!
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教授「…とまあ嘘の報告をしてきたわけだ…」
私「えぇ…」
思わずしかめっ面をする
教授「まあ一応被害者だから何も言わなかったがそれがあって君の罰が軽いわけだ…相対的にな…」
私「そうだったんですね…」
教授「ちなみに明日以降もリンちゃんは持ってきてもいい…さすがにリンちゃんが暴れたり撫でられようとしてなくて引っ掻いたら考えるがな…」
私「あー…」
私[多分撫でようとしてくる人はいるしこの子気性荒いよな…]
教授「まあなんだ…撫でようとする生徒にお前は一応警告しろ…」
私「あっえ?」
教授「顔に出てたぞ…」
私「あはは…すいません…」
教授「はぁ…警告さえすればなんとかなるだろう…そいつが無理やりやった事だからあとは自己責任だ」
私「分かりました…」
私[こいつが明日以降来るかわからんよな…]
猫の耳の部分を撫でる
猫は私の右手をぺろぺろと舐める
教授「にしてもこいつ本当に可愛いな…」
私「ですね…」
教授は猫を微笑ましそうにみながら紅茶を飲む




