懐疑
ヒピピ…ピピピ…
アラームが鳴る
私[時間か…]
私「猫…私はもうそろそろ行くよ…」
私がそう言うと猫は膝上から降りる
私「いい子だ…それじゃあね…」
そう言って路地裏から離れる
私[可愛かったな…あの猫]
猫を撫でた時の感触を思い出す
私[にしてもあの猫妙に人懐っこかったな…]
講義室に着く
私[うわ…この講義人めっちゃいる…まあ真面目な人はほぼ居ないからいっか…]
後ろの方はほぼ寝ているかスマホをしてるか喋っている人しかいない
前の方に真面目な人間が集まっているし、教授も諦めているのか特に何も言及はない
私は後ろの席に座って、教材を出す
私[どうしようか…]
私はダラダラとスマホを見る
「えー、何この猫可愛いー!!」
廊下の方から女子の声が聞こえる
私[猫…?]
次第にその声は近づき、大きくなる
私[猫かわいいもんな…分かる…]
不意にあの黒猫を思い出す
私[…え?]
ふと廊下を見ると生徒を引き連れてあの黒猫がいた
猫は周りの学生を気にもとめずに凛として歩みを進める
私「…!?」
思わず目を見開く
私[なんであの猫が…?]
猫は私の姿を見るとトタトタと駆け寄り、私の膝の上に乗る
私「え…?」
思わず声が漏れる
猫「にゃー…」
猫は周りの学生などお構い無しに私の膝の上で丸くなる
私[な、なんで!?]
「え…?」
「なんであいつが…」
廊下の方を見ると他の学生に睨まれていた
私[えぇ…]
さすがに騒ぎになっていたのか教授の意識がこちらに向く
教授「お前らさすがにうるさい…講義中だ!!」
「教授ー!!大学内に猫持ち込んできてる奴がいるんですけどー!!」
教授「はぁ?どいつだ!!」
学生が私に指をさして教授がこちらに向かう
私[…終わった]
私の元に教授が来る
教授「お前名前と番号は?」
私「…○○ ××番です」
名前と学生番号を言う
教授「この猫は?」
私「…」
猫をちらっと見る
猫はこっちをじーっと見ていた
私「…うちの猫です」
教授「ほーん?連れてきたのか?」
私「いえ…着いてきちゃって…すいません」
教授「…大人しいな」
私「えぇ…」
教授「この猫の名前はなんだ?」
教授は講義を中断させてこちらに意識が向いている
講義室の中の目線はこちらに向いている
私「えーと…」
私[どうしよう…]
教授「…言えないのか?」
私「いえ…リンっていいます」
教授「リンちゃんか…」
教授は猫を撫でようと手を伸ばす
猫はしっぽで教授の手を弾く
教授「ふん…まあ講義の邪魔にならなそうだしお前によく懐いてるな…何も無ければ学業の邪魔にならなそうだし問題ない」
教授はマイクを再び持つ
教授「講義を再開する…□□という理論だが…」
教授は再び講義室の前に行き、講義を始める
私「はぁ…」
思わず息が漏れる
私[この猫なんで来たんだろ…]
猫を再び見る
猫は私の手にしっぽを絡める
そして体に私の手を持っていく
私[撫でろってことか…?]
猫を再び撫でると猫は喉をゴロゴロ鳴らす
私「…」
私[やっぱ可愛いなこいつ…]
しばらく撫でると猫は私の手を舐める
私[くすぐったい…]
「という理屈である訳で…」
講義の間はひたすら猫に意識がむく
歪な視線を忘れていたが向いてきているのに変わりはない
私[…どうしようか]
私はこの猫を撫でながらのんびりと考える
教授「以上で今日の講義を終了する」
講義が終わる
本来ならこの後帰るだけだが…
「ねぇ」
私「…」
席を立とうとすると女学生に声をかけられる
4人いるが男女二人組でこっちを見ている
さっきから睨んでいた学生だった
「その猫何?」
私「私が飼っている猫ですけど…」
荷物をまとめて立つと猫は膝からおりる
「撫でさせてよ」
私[えぇ…]
「いいでしょ?」
私「えーと…いいけど…」
猫「フシャー!!」
猫をちらっと見ると学生に対して明らかに威嚇をしていた
私「あー…この子人見知りというかあんま撫でられたくないんです…」
思わず敬語になってしまう
「なに?じゃあなんでお前はいいんだよ?」
男学生がやっかみを飛ばしてくる
私「…さあ?」
そそくさと離れようとする
「まあ待てよ」
もう1人の男学生に肩を掴まれる
私「っ…」
私[怖い…]
男学生は筋肉があるのか結構な力があった
「なんならそいつ私の家に連れてくわ…あんたみたいな奴より私の方が似合うしね」
女学生が猫に手を伸ばすが
猫「フシャー!!」
猫は女学生の手を爪で引っ掻いた
私「ちょ…」
「いった!!」
「おい!!」
私「ごめんなさい!!」
男学生が呆気に取られてるうちに掴まれてる手を払って猫を抱えて逃げる
人目は結構あるが気にしない
私[このあと授業ないし一旦裏路地行くか…]
講義室から離れて裏路地を目指す
私[どうしようか…完全に悪い方に注目集まったろ…]
昼にいた椅子の上で私は項垂れる
猫は気に求めないで私の膝上で丸くなっている
それが定位置だと言わんばかりに私の膝上にいる
私「お前なー…」
猫の耳をカリカリと指先で撫でる
さっきみたいな威嚇とか爪で引っ掻くとか一切されずにむしろ気持ちよさそうにしている
私「お前の毛並みなかなか気持ちいいな…」
黒猫の毛並みはツヤツヤに整っており、野良猫と言うよりはどこかで飼われてたんじゃないかと思う
しかし、首輪は付いていない
私[そろそろ帰るか…]
荷物を持って席を立つと猫は膝から飛び降りる
私「元気にしてろよ…」
最後にひとなでして猫から離れる
猫「にゃー」
しかし猫は私に着いてくる
私[本当にこの猫に懐かれた…どうしようか…]
しゃがんで猫を見るとスマホが揺れる
私[…ん?]
メールが来る事は一切ないから少し驚く
私[葵か…?]
私はスマホのロックを解除してメッセージを開く




