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異世界に飛ばされた殺戮者  作者: SHIO
第二章 暴龍撃退編
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予兆

「と、いうわけで俺はこっちに来たってわけだ…」

「そんな…タクヤ」


 サヤカさんは駆け寄る。

 皆も心配している。

 

 俺もタクヤさんが心配ないわけではない。

 しかし、それ以上に憤りが募る。

 絶対に許せない事がある。


「行きましょう!タクヤさん! 誰か犠牲が出る前に」

「あぁ、そのつもりだ……」


 タクヤはその場に立ち上がり、皆に下がるように手を払う。


「そんじゃまぁ、こいつを壊すか!」


 なんだ、この気配は…

 魔力感知では気配がない。

 しかしそこにドデカイ何かがあるようだ……。


「剛剣極地ー六合覇斬!!!」


 タクヤは剣を大きく振り、その刃は空間ごと鳥籠の結界を打ち砕いた。


「マジかよ……」

「さっすがッスヨ! タクヤさん!」

「良かった…タクヤ……」

「みんな、もう大丈夫だ…アイツを追うぞ!」


 魔力感知ではもう引っ掛からない。

 どうやら外に出ていったみたいだな。


「ショウヤ、道案内頼む」

「任せてください!」


 俺達は、ダッシュで外へ向かう。

 

「感じます! まだ近くにいます!」

「おっしゃ! 追い付くぞ!」


 茂みを抜けた先に奴らはいた。

 人間が三人。

 龍が十頭。


「!?」

「あの鳥籠を破壊するとは、アイツめ、とんだ不良品を寄越しやがって……」

「どうしやすか? 兄貴…」

「龍など一頭居れば十分だ。九頭を奴らへ向かわせろ」

「へい!」

 部下二人は龍操の笛を吹き、一頭以外の龍全てが一斉にこっちに方向を変える。


「こっちに来ましたよ、タクヤさん!」

「あぁ…わかってる」

 俺とタクマさんは大丈夫だが、はたして後ろを守れるか……


「おい、ショウヤ! アイツを止めてくれるか?」

「もちろんです! タクヤさんの教え子でしょう!? 絶対止めないと!」

「……やっぱお前はいい奴だな」


 満面の笑みだった。

 この顔、知ってる。

 死を超越したその先を見る目だ。

 未来を見つめている目。


「よし! サヤカとマサトは、ショウヤのフォローを頼む!

俺は、こいつら引き付けるからよ!」

「うん、わかったわタクヤ!」

「了解っすよ!」


 えっ?

 一人で戦う気なのか!?


「タクヤさん! 俺も一緒に!」

「いや、お前はアイツを止めてくれ。おそらく、奴らよりもやっかいな龍九頭を俺が引き受ける」

「でもっ!!!!」

「お前にしか、頼めねぇんだ」

「くっ!」


 胸騒ぎがする。

 俺の周りでまた、何かがなくなる前兆が…


「大丈夫よ、ショウヤ」

 俺の肩にサヤカさんが手を添えて、そっと後ろへ押された。

「そうっすよ! なんたってあの人は、レベル六百九十。この世界で五本の指に入る戦士っすからね!」



 その少し前。

 ショウヤ達一行より南西二十キロメートル地点。

 暗躍する集団が近付いていた。

「ラクサス様! 人間どもの村の偵察より帰還しました! 」

「苦労をかけたな、それで…人間は全滅していたか?」

「それが、誰一人まだ死んでいないようでして…」

「なに!?」

「どうやら村を襲いまではしたようなんですが」

「あの異世界人め、魔導具まで貸してやったのに、体たらくな。やはり…人間は信用できんな」

「どうしやすか、ラクサス様!」

「まずはあの異世界人の口を塞ぎ、その後龍に村を襲わせる。俺らのノルマはもうあの村だけだ、行くぞ!」

「へい!」



 さらに遡ること数時間前。

 王都では、英雄が帰還していた。

「ご苦労であった、勇者ツルギよ」

「王よ、これは勇者として、当然の事だ。気にするでない!」

「ちょっと、相手は王なのよ! もう少しその態度はどうにかならないの?」

「はっ! 確かにそうだ、マリアの言う通りだ。王よ御無礼をお許し下さい。」

「ま、まぁ気にするでない」

「本当にその通りだ。何を気にする必要があったのだ、マリアよ! 俺は勇者だ。この戦乱の世には、俺よりも必要な存在はいないだろう。だが、この王には何ができる!? この玉座でただ平和を夢見ているのみ。座っているだけで魔族相手に勝利を掴めることなどあっ!!!!」

 高らかに演説中の男を横の女が小突き、舌を噛んだ。

「申し訳ないございません、王よ。この男には私から言い聞かせますので、どうか非礼をお許し下さい。」

「まぁよい、宜しく頼むぞマリアよ。でないと、胃が痛くてかなわんのでな」

 二人の男女は城をあとにし、騎士団の詰所へ向かった。

「よぉボブ! 景気はどうだ!?」

「テメェ!ツルギ! 来るのがオセェンダヨ!」

「おいおい、最速で戻ってきたんだが、相変わらず無茶言いやがる。だが、俺達はまたしても魔族を大勢滅してきてやったぞ! さぁ、俺を崇め敬い、そして絶対の信頼を持って頼るがよい!!!」

「ミスマリア、ツルギはナニを言ってる?」

「コイツがごめんなさいね、何か別の依頼はないかって事を言いたいんだと思うよ」

「ナルホドね! それならすぐ応援に行ってほしいね!」

「ほぉ、俺に適した依頼があるのか?」

「さっきタクヤ達を向かわせたトコロよ。フーレス村に龍が現れたって。推奨レベル三百だな」

「なに、先生が! 久しぶりに顔を見せておこうか」

「ツルギ、行くの?」

「あぁ勿論だ、先生なら問題ないだろうが、少し荒れそうだと俺は感じている! いや、そうあってほしい! この俺が遅れてやってきて、敵を打つ! 最っ高に英雄してるじゃないか!」

「ケガ人出てるかな?」

「そりゃもちろん、みんなケガして動けず、絶望している頃であろう!」

「本当に! やったぁ!また治療できるのね!」

「フハハハハ!!! 待っていてくれ! この英雄が今助けに行ってやろう!」

「ジュルルル、待っててね、今治しに行くからね。やべ、ヨダレ出てきた」







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