第130の宴 ポンコツはいつまでもポンコツ
創造神の話も終わり、やっとのことで山の中に入る俺達。
山の中の壁は薄っすらと青い。
青というよりは水色かな?
まさに水の山であった。
「水の魔石は他の鉱石のように採掘することによって出てくる。
本当ならそこら辺にいっぱい転がってる筈なんだがな。」
「ん?どういうことだ?」
「昨日も言った通り、水の石は俺達にとって不必要な物だ。
採掘したところで皆そこら辺に放り投げる。
しかし、次来る頃には放り投げてあった石が何故か消えているんだ。」
「それはそうよ。
水の石は魔石ですもの。
水系のモンスターが好んで食べるわ。」
「モンスターは魔石を食べるのか!?」
「ええ。
魔石を食べることにより、モンスターは強くなるの。
魔石の魔素を食べてるの。
だから、このまま水の石を放置し続けると全てのモンスターが強くなって、この山に入ることが出来なくなるわよ?」
『えぇぇぇぇぇぇ!?』
「まあ、ご主人様の様に強ければ大丈夫だけれども、エルフやダークエルフの実力じゃねぇ・・・。」
「つまり、これからは水の石も回収しないといけないってことだな。」
「ええ。
これ以上、この山のモンスターを強くしたくなければね。」
「まさか、そんな事実が・・・。
レナ、感謝する。
教えて貰えなかったら将来、俺達は鉱石を取ることが厳しくなっていた。
それは死活問題だからな・・・。」
だから、ここのモンスター達は強かったのか・・・。
オルフェノスがモンスターはBランクからと言っていたからな。
このままだったらホントにダークエルフ如きじゃ太刀打ち出来ない山になるところだったな。
そして、俺達は山の中を進む。
「そうだ、お前たちこれを持て。」
俺は皆にオリハルコン製のツルハシを渡す。
「久しぶりの採掘だね!」
「いっぱい掘るわよ!!」
〈ミーナもやりたかったですぅ!!〉
「ミーナは危ないから駄目よ!
私がミーナの分まで掘ってあげるわ!!」
「採掘にゃんて初めてにゃん!」
「ルーシーちゃんは疲れることしなーい★」
「別に疲れないわよ?
ほら。」
レナがそこら辺の壁にツルハシを振り下ろす。
軽い一撃で壁が崩れ、偶々そこに水の石が埋まっていた。
「ええ!?
レナちゃんそんなに力あったの!?」
驚くルーシー。
エルフ達やティナも驚く!
「このツルハシはどんなに力が無いものでも簡単に掘れるようになっている。
我が創り出した特別製のツルハシだからな。
だから、疲れることもなく掘ることが可能だ。
ルーシーもやってみろ。」
ハルトにツルハシを渡され、渋々壁を掘りだすルーシー。
「じゃあやるよー★
えいっ☆」
ルーシーが力いっぱい壁に向かってツルハシを振り下ろすと凄い勢いで壁が砕け散る!!
「きゃぁ!!」
「壁が弾け飛んだにゃん!!」
「ルーシー!
お前はレナよりも力があるんだから思いっきり降ったら駄目だろ!」
「だってー★」
「な、なんて凄い道具なんだ・・・!」
「これがあれば鉱石なんて簡単に採掘できますね・・・!」
「こんな道具があったなんて・・・・!」
「ん?お前達はどうやって採掘したんだ?」
「土魔法が使える者が時間をかけて掘っているのだが・・・。」
「一回掘るのに10分から20分もかかる。
だから、一日の収穫量は重さで言うと50キロ程かそこらで・・・。」
「たった50キロなの!?
タナトスならそんなの一瞬よ?」
「まあ、我にはスキルもあるからな・・・。
鉱石を見つけるなど、不肖の作業だ・・・。
さあ、刮目するがよい!」
《洞窟王の奇跡!!》
ハルトがスキルを発動させると、あちこちと壁が壁が光りだす!
「壁が光りだした・・・?」
「その光っているところをこのツルハシで採掘するがいい。」
サブリナはハルトからツルハシを受け取り、光っている部分にツルハシを振り下ろす!
「わあ!見てください!!
鉱石が埋まってますよ!」
「なんと!?
これならあっという間に鉱石を採掘出来る!!」
「すげぇ!!
普段何処にあるか分からないからさらに時間が掛かるのに!!」
「くっくっくっ・・・
我に不可能はない。
さあ、貴様らもこのツルハシを使い、採掘に忘我するがよい!!」
『おお!!』
それから採掘が始まる。
水の石も沢山採れた。
しかし、その石を鑑定すると・・・
〈水の魔石(小)〉
湧き水程度の水を発動させることのできる魔石。
・・・これじゃ船は動かない。
辺りを見ても水の石は〈小〉しかない。
この階層は駄目だな。
《八咫烏の導き!!》
大きな黒い鳥がハルトの前に現れる!!
〈ガァァァァァァァァ!!〉
「八咫烏!最上階まで案内してくれ!」
〈ガァァァァァァァァ!!〉
「この階層は駄目だ。
次に行こう。」
『え!?』
「なんだ?不満か?」
「いや、楽しくなってきたところだったから・・・」
「上の階に行けばもっと良いものが掘れる。
金とか銀もあるだろう。」
『金!?銀!?』
3人は驚愕する!
「なんだよー!先に言ってよー!
タナトス様ー!
よっしゃ!
金と銀を大量に掘り起こすぞ!!」
金、銀と聞いてきてさらにやる気を出すジーク!
「まさか、そんな高価なものまで掘れるとは・・・!」
「それがあればエルフの国も潤いますね・・・!」
目をキラキラ光るさせる二人。
と言うことで、採掘作業を中断し俺達は先に進むことにした。
階段までは八咫烏が案内してくれるので、迷うことなく進むことが出来る。
だけど、ここは山。
やはり、モンスターが現れる。
「よし、ここは俺が相手を・・・」
「待て!オルフェノス!!」
「え!?」
「折角のモンスターだからな。
我が呪われし魔眼よ!!
その哀れなモンスターの正体を暴け!!」
《鑑定!!》
〈ウォーターラビットlv58〉
Bランク(元Cランク)
水の魔石によりパワーアップした水うさぎのモンスター。
生えてる角や水魔法で攻撃してくる。
角、毛皮、肉が高価で売れる。
「やはり、水の石でランクが上がっている。
角と皮と肉が売れるらしいから綺麗に倒さないとな。」
「・・・売れる・・・?」
「そうか、エルフにはそんな文化がないんだな。
まあ、話はあとだ。
見てろよ。」
そう言うとハルトはアイテムボックスから真・覇王幻影剣を取り出し、一瞬でウォーターラビットの頭と胴体を切り離す・・・!!
『!!!!』
「嘘だろ・・・!
Bランクを一瞬で・・・!?」
「タナトス様はこんなにも強かったの・・・!?」
「当たり前じゃない!
ご主人様は世界最強よ!
ドラゴンだって一撃で倒すんだから!!」
ドヤ顔のレナ。
『ドラゴンを一撃ィィィィィィ!?!?』
「お、俺達は逆らってはいけない人間に歯向かったのか・・・」
「・・・生きてて良かった・・・!」
ダークエルフの二人は寒気を感じたと同時に生きてる幸せも感じた・・・。
「よし、綺麗に斬れたな。
これを・・・」
《真・完全解体秘術!!》
倒されたウォーターラビットは綺麗に素材と変わってゆく。
「あっという間に素材に・・・!?
解体するのだって大変なのに・・・!」
「ん?お前達、素材は集めないんじゃないのか?」
「いや、肉は別だ。
俺達はモンスターの肉と育てた野菜しか食べ物がないからな。」
「そりゃ、そうか。
じゃあ皆のために肉を大量に持っていかないとな。」
「貰ってもいいのか!?」
「当たり前だ。
我は神の使者だぞ?
我は困っている者の味方だ。」
「ありがとうございます!!
助かります!!」
まあ、若干一匹、〈ええっ!!〉って顔したフェンリルがいたが無視する。
そして難無く5階まで辿り着いた俺達。
2階から5階で見つかった水の石は〈中〉までだった・・・。
船を動かすには〈大〉以上が欲しい・・・。
この上にあるといいが・・・。
「あっという間に5階に着いたな・・・。」
「俺達来るのに一日位かかりますよね・・・?」
啞然とする二人・・・。
「さあ、上に行くぞ。
八咫烏、頼むぞ!」
〈ガァァァァァァァァ!〉
俺達は八咫烏の案内通りに進む。
途中出てきたモンスターはハティによって瞬殺される。
最近戦ってなかったから嬉しそうだ。
そして、八咫烏が壁の前で止まる。
ハルトの前にウインドウが表示される。
〈階段はこの先。隠し扉あり。〉
「やっぱり睨んだ通り、この先に階段があるらしい。」
「えぇぇぇぇぇぇ!
ここはいつも通り過ぎる場所ですよ!
こんな、なんの変哲もない通路にあるなんて!」
ジークがガックリして壁に手をつく。
カチッ
「へ!?」
ガガガガガガガガガ・・・・・
壁が動き出し、階段のある部屋が現れる!!
「へ、部屋が現れた・・・!」
「さ、流石は策士様です!!お手柄です!!」
「・・・うそ・・・?」
開いた本人が1番驚愕していた!
「またこのポンコツが隠し部屋見つけた!?」
「ホントに運がいいね!
ポンコツなのに。」
〈ポンコツの癖にやるですぅ!
運のいいポンコツですぅ!〉
「こんなに運がいいのにポンコツとか・・・」
「でも、これで次に進めるにゃん!
ありがとにゃん!ポンコツ!」
「こんなポンコツどうでもいいから、早く上に行って採掘しよーよ★」
「策士様に向かってポンコツとはなんですか!!
謝ってください!!」
『絶対に嫌。ポンコツはポンコツだし。
謝る筋合いなし!!』
「きぃぃぃぃぃ!!」
「うう・・・皆揃って酷い!!」
言い合いになるサブリナとハルトガールズ。
なんとかオルフェノスがその場を抑え、騒動が止む。
俺はハティ達と見てるだけだったがな。
だって面倒くさいし・・・。
そして、俺達は六階に上がっていく・・・。
本日もお読み頂きありがとうございます!
1階から5階まで取れた鉱石は鉄、軽鉄、銅、アルミニウムです。
アルミニウムは普通、採掘なんて出来ないですが、創造神の創った世界なので採掘できます。
創造神はアルミニウムも採るものだと思っています。