第129の宴 創造神とニンフ族とエルフ族
そして、次の日。
俺達はオルフェノスに案内され、水の石があるというエルフの国の山に向かう。
「この山のモンスターは、今確認できているところでCランクからAランクだ。
全て水属性のモンスターだ。」
「確認できているところ?」
「誰も頂上までたどり着けてないからな。
あの大きさだと8階迄あるはずなのだが、5階しか行けないんだ。
6階に行くための階段がどこ探しても見つからない。」
「・・・隠し部屋か・・・。」
「隠し部屋だと?」
「どこかに階段のある部屋があるはずだ。
我ならスキルで探しだせる。
どうせならこの山を攻略してやろうじゃないか。」
「本当か!?
それは是非頼みたい!」
「ん?頂上に何かあるのか?」
「・・・ああ。
あの山にはダークエルフに伝わる秘宝が隠されているらしい。
昔からの言い伝えでな。
しかし、それを見つけた者はいなかった・・・。
最早、ただの伝説になっていた。
しかし、タナトスなら見つけられるかもしれない!」
「ダークエルフに伝わる秘宝か・・・
面白い・・・!
我は神の使者・タナトス・・・
我に不可能はない!!
貴様らの本懐、我が叶えることを盟約しよう・・・。」
そして、山に辿り着く。
因みに今回のメンバーは俺達一行、オルフェノス、サブリナ、ジークだ。
ルミリアンはルーンにちゃんとした女王になる為の教育をスパルタで受けている・・・。
ルーンが行かないのならと、ケリーもお留守番だ。
「そういえば、ミーナちゃん大丈夫?」
「何がですぅ?」
「だって、この山、水の山だよ?
ミーナちゃんとの相性最悪だよ?」
「そういえば、そうね。
貴女、下手したら死ぬわよ?」
そういえば、ミーナがいた山に入るとき、物凄くレナが躊躇してたな。
それだけ精霊にとっては死活問題なんだな。
「大丈夫ですぅ!!」
そう言うと、ミーナは妖精姿になり、ハルトの紋章に入っていく。
〈これなら一緒にいれるしぃ、死ぬこともないですぅ!〉
「なるほど!
確かにご主人様の中なら安心だね!」
「・・・その手があったわね・・・。」
「え!?
ミーナ殿は何処に!?」
「いきなり消えたぞ!?」
驚くエルフ達。
「ああ。
このレルミーは精霊なんだ。
この山は火の精霊ミーナにとっては命取りにもなる山だからな。
契約した俺の中に入って貰った。」
『精霊ィィィィィ!?』
さらに驚き、レナルナに膝をつき、敬礼する3人。
「え!?なんで!?」
「うふふ・・・ルナ、エルフって言うのはね、ニンフが生み出した種族なのよ。」
『えぇぇぇぇぇぇ!?!?』
「そうなのか!?」
どんな転生モノでもそんな話聞いたことないぞ!!
「本当よ。
ニンフは創造神様から、それぞれ特別なスキルを必ず貰うことが出来るの。
私の世界知識とかね。
もう今は亡くなったけど、エルフ達を生み出したという精霊は種族合成と言う超レアスキルを持っていたの。
そのスキルで生み出されたのがエルフ。
世界知識によると人間とニンフを合成したみたいね。」
「だから、エルフは人間よりも魔力があるのね。
耳以外は人間と変わらないものね。」
「耳を変えたのは人間と区別をつける為みたいね。
そして、そのエルフと魔族を合成して産まれたのがダークエルフ。」
「私達の種族の血が入ってんの!?
だから、肌の色が一緒なのね!」
「そうね。
エルフと区別を付ける為に肌の色を魔族よりにしたみたいね。」
「昔から我々エルフは、エルフの生みの親のニンフ族とニンフ族を創りし創造神様を崇拝している。
まさか、間近でニンフ族に会えるとは・・・!」
「精霊なんて死の森に行けば沢山いるぞ?」
『死の森・・・!?』
エルフ達が驚き、後退りをする。
「どうしたにゃ?」
「死の森って、人間界にある最凶最悪の森じゃねえか!!」
「まさか、そんなところにニンフ族が住んでるなんて・・・!」
「私達は創造神様の大木の周りで大木を守っているから大丈夫なのよ!
あそこにはモンスター出ないし。」
『創造神様の大木・・・!?』
「知らないのか?」
「名前だけは知っている・・・。
この世界が創造され、1番最初に出来た大木・・・。
その大木の頂上に行くと創造神様に会えると言われている大木・・・。
まさか、死の森の中にあるとは・・・!
タナトス!
是非、我らエルフ達を神の大木に連れて行ってくれ!!
頼む!!」
「私も行きたいです!!
お願いします!!」
「俺も!!
頂上に行って創造神様に会いたい!!」
3人にお願いされるタナトス。
「え、嫌だよ。」
『えぇぇぇぇぇぇ!?!?』
「今の感じだとオッケーする空気じゃないの!?」
「こんなにお願いしてるのに駄目なんですか!?」
「タナトスよ!何故だ!?」
「いや、お前達馬鹿なの?
今から山を攻略するんだろ?
なんで、あんな創造神の所に行かなきゃならない?
今は水の石を手に入れるのが先だ。
順番を守れ。
親から習わなかったのか?」
『うう・・・!』
「創造神に会ったって笑われるだけだぞ?
あいつ、人を馬鹿にすることが好きだからな。」
「え!?タナトス様は創造神様に会ったことが・・・!」
「サブリナちゃん!
当たり前だよ!この人、神の使者だぞ?
それより、人を馬鹿にするって・・・?」
「俺は会うたびバカにされてるぞ?」
「そんな・・・!
このタナトスを笑うなんて・・・
やはり創造神様は最強なのか・・・!」
「流石は創造神様・・・!」
「是非お会いしたい!!」
「そんなに会いたいのか?」
『勿論!!』
鼻息を荒くして答える3人。
「そんなにか・・・
まあ、会うことは出来ないけど、会話みたいなことはできるんじゃないか?」
『ホントに!?』
「ちょっと待ってろよ。」
そう言うと、ハルトはスキルで調理器具を出す。
ご飯を炊き、魚を卸す。
卸した魚を柳刃包丁でスライスし、炊いたご飯で酢飯を作る。
それを握れば完成だ。
そう、創造神の大好物。
お寿司だ!
「これは一体・・・!?」
「これは創造神の好物、寿司だ!
創造神はこれを作って貰うため、海に魚を創ったんだぞ?」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
今日イチで驚く3人。
「見てろよ?
創造神よ!
この寿司を献上するから、エルフ達に何か言葉をくれてやってくれ!」
すると、寿司が光り出し、ハルトの手から消えた。
「き、消えた・・・!?」
「創造神の所に行ったんだ。」
「凄い・・・!
流石は神の使者・・・!」
「さて、また作るか。」
「え!?まだ作るんですか!?」
「そうだな。
そろそろかな・・・。」
『へ?』
すると、ハルトの前に寿司下駄だけが現れる!
そこには紙が貼ってあった。
〈たりない〉
『おかわりィィィィィ!?』
「気持ちわかるにゃん!
お寿司は美味しいにゃん!」
さっきから食べたそうにしていたティナが涎を垂らしながらいう。
お前の分も後で作ってやるから待ってろ。
そして、5皿ほど作ったところで長文の書いてある紙が貼ってあった。
「ほら、創造神からの言葉だ。」
そこには・・・
〈エルフたちよ。私は創造神。
いつもアナタ達が私を信仰しているのを見ています。
心から礼を言います。
私の創り出したニンフがアナタ達を創り出したことは何よりも嬉しく思います。
これからも私はアナタ達を見守っています。
エルフ族の益々の繁栄を私はここから見守っています。〉
「だってよ。」
「おお・・・!
創造神様!!
我らを見てくださってるとは!!」
「か、感動です!!
産まれて一番の感動です!!」
「すげえ・・・まさか本当にお言葉が貰えるなんて・・・!」
「ん?まだなんか書いてあるな?」
〈追伸
お供えはお寿司を希望します。
タナトス(笑)が創り出した像の前に必ず毎日お供えすること。
あ、ネタは毎日変えること。
あと、タナトス(笑)。
あの像は創り直すこと。
胸があと3カップ位大きく、腰のくびれをもっと強調。
おしりのハリを忘れずに。鼻ももう少し高く。
それが真の私の姿です。〉
『・・・・・・・』
皆の開いた口が塞がらない・・・。
「え・・・創造神様・・・?」
「あのヤロおぉぉぉぉぉぉ!!!
また笑いやがってぇぇぇぇぇぇぇ!!
しかも像を創り直せだと!?
巫山戯んな!!」
クソ!いいだろう!
創ってやるよ!!
《クリエイトアイテム!!》
目の前に創造神の象が現れる。
鼻を低く、胸は平ら。
くびれなしで垂れ下がったオシリ。
「どうだ!!」
その時だった・・・。
ピシャァァァァァァァァァァン!!!!!!
空から雷槌が降ってきてハルトが創った像を跡形もなくチリにしてしまう!!
『ヒィィィィィィィィィィィィ!!!』
そして、ヒラヒラと紙が降ってくる。
そこには・・・
〈殺すぞ・・・?〉
と一言書いてあった・・・。
ねえ、ホントに神なんだよね・・・?
神が殺すとか言っていいのかな・・・?
あれ当たってたら、流石の俺も死んでたぞ・・・?
「ご主人様!!
早く新しいのを!!
殺されちゃう!!」
「くっ!」
《クリエイトアイテム!!》
すると、今度は創造神の思い通りの像が現れる!!
鼻を少し高く、胸はミーナ位大きく、強調されたくびれ、引き締まったヒップ。
これで文句無いだろ!?
その時、像に光が注がれる!!
その光を浴びた像は神々しく光りだす!!
「ま、正しく創造神!!
なんて神々しい!!」
「早速ダークエルフ城に祀るぞ!!」
「何言ってるんですか!!
エルフ城に祀るに決まってます!!」
オルフェノスとサブリナが言い合いをする。
真ん中でどっちの味方につけばいいのか困るジーク。
そんななか、また紙が降ってくる。
〈最初から創れや・・・消すぞ?〉
・・・・もうあれは破壊神か邪神かな・・・?
兎に角、怒らせるのは止めよう・・・。
結局、山に入るのはそれから一時間後であった・・・。
本日もお読み頂きありがとうございます!
結局山に入ることが出来ず、この回は終わってしまいました・・・。
次は入りますので!!