第127の宴 ハティVSティナ
ルミリアンが玉座に座ったことでゲームが終了した。
「我の負けだな・・・。
約束通り、城は返してやる。」
「タナトス・・・お前わざとだな・・・。」
「わざと!?
どういうことじゃ!?」
「お前ほどの人間が俺達に抑え込まれるはずなんて無い・・・。
お前が本気になれば俺たちなんて一瞬で吹き飛ばせる筈だ・・・。
現に俺たちが抑え込んだとき、お前は何もしなかった・・・。」
「なんじゃと!?そうなのか、タナトス!!」
「・・・我は言ったであろう?
このゲームの目的はルミリアンに罰を与えることと自覚を持たせることだと・・・。
その目的が果たされた今、我は満足した。
最初からこんな城に興味はない。
我は神の使者、タナトス!!
いつまでもこんな所にいるつもりもない。
世界には我を待っている者達が沢山いる。
困っている者を助けるのが我が使命。
もうここには困っている者は居ない筈だ。」
「タナトス・・・!
・・・ありがとう・・・
女王として礼を言う。
お主が来てくれて良かった・・・。」
涙を流すルミリアン。
「俺からも礼を言うぜ!神の使者!!
あんたのおかげで自身がついた!
これから俺はサブリナちゃんが心から尊敬するような策士になる!!」
ジークが笑顔で話す。
「私も!
貴方のおかげでこんなに素敵な人と巡り会えたのだもの♡
本当にありがとう♡」
ケリーはルーンにくっついて礼を言う。
「ケリー殿!!
皆の前ですぞ!!」
「あら、いいじゃない♡
見せつけてやりましょうよ♡」
「ヒューヒュー!
兵士長にも春が来たな!!」
「こら!茶化すでない!!」
「あははは!!」
「神の使者様!
私からもお礼を言わせてください!!
貴方様のお陰で女王様が生まれ変わりました!!
私はこれから女王様をさらに女王様らしくするよう頑張ります!!」
「いや、頑張らなくていいのじゃぞ・・・?」
「何を言ってるんですか!
明日から覚悟しておいてくださいね♪」
「ヒィィィィィィィィ!!
優しくするのじゃぞ!!」
「無理です」
「酷いのじゃ!!」
「さて、ゲームも終了したし・・・
そろそろやるか!!」
『へ?』
「何いってんだ?
宴に決まってるだろ!!
さあ、お前たち!!
打ち上げパーティーだ!!」
ハルトがそう言うと、空間魔法が展開され、中から料理が運ばれる!
「い、いつの間に!?」
「お前達がゲームで苦戦している間に俺が分身体を創り、島に散らばったエルフ達とダークエルフを全員集めた。
その者たちに料理を作らせたんだ。」
「エルフの皆をじゃと!?」
「女王様!!
お久しぶりです!!」
「ああ!やっと戻って来れた!!」
「わーい!またお城に住めるんだね!!」
「皆の者・・・!
一年間、妾が不甲斐ないせいで苦労をかけたな・・・!
申し訳ない!!
許してくれ!!」
ルミリアンが頭を下げる・・・。
『えぇぇぇぇぇぇ!?女王様が謝ったァァァァァァァァ!?!?』
「し、失礼な!!
妾だって謝ったりするぞ!!」
「・・・いや・・・。
私の記憶だと産まれて一度も謝ったところを見たことないですよ!」
「全て正当化してたもんなぁ!」
「謝る言葉知らないのかと思ったぜ!」
「知ってるに決まっているのじゃ!!
お主ら!妾は女王だぞ!!
少しは敬わんか!!」
「敬う程の実績もないしなぁ・・・。」
「うっ・・・!」
「我儘しか言ってなかったしな!!」
「ううっ・・・!」
「まあ、これからが見物だよな!
すぐ音を上げなければいいがな!」
「お主らァァァァ!!
妾をバカにしおってぇぇぇぇ!!」
「わあ!女王様が怒ったぞ!
逃げろ!!」
『あはははははははははは!』
「ご主人様!
全部、ご主人様の思惑通りだったんでしょ!?」
「・・・まあな。
ジークの運の良さは計算外だったがな。」
「あの子、ホントに運がいいわよね・・・。
ポンコツだけど。」
「策士としてはぁゴミ以下ですぅ!!」
「流石はタニャトスにゃん!
エルフ達もにゃかよくにゃって良かったにゃん!」
「ゲーム楽しかったね☆
あんなもの考えつくなんて、やっぱりタナくんは天才だね★」
いや、全てパクリです。
「だけど、タナトスがあの時あんなこと言うから、最初ビックリしたわよ!
あの時はこんな結果になるなんて思わなかったわ!」
あの時とは・・・
それは俺たちがオルフェノス達を倒した後のこと・・・
時間は遡り・・・
「この城を我が占拠する!!」
『えぇぇぇぇぇぇ!?』
「ご主人様!何言ってるのよ!」
「そうだよ!エルフたちの為に取り返しに来たんじゃないの!?」
「やっぱりタナトス様はぁ悪の使者ですぅ!!」
「タニャトス!みそこにゃったにゃん!!」
「あんたがそんな奴だったとは思わなかったわ!!
サイテー!!」
「あはは★
城を占拠するなんてかっこいいね☆」
〈ガウガウ!!〉〈キャン!!〉
仲間から執拗に責められるハルト!(ルーシー除く。)
「うるせぇぇぇぇ!!」
ビクッとする仲間達。
「誰が悪の使者だ!!
いいか・・・別に本当にエルフ達を支配しようとは思っていない。
これはあのやる気のない女王と偉そうにしている癖に告白も出来ないこのヘタレの根性を叩き直す為だ。」
『根性を叩き直す??』
「あの女王のせいでエルフの者達は苦労をかけられている。
あの女王がもっと女王としての自覚を持たないとこの国は終わる。
だから敢えて俺が悪者になり、エルフ達に罠を仕掛ける。
次々といなくなる部下達を見たら、あいつもきっと何かが変わるはずだ。
まあ、ここで変わらないのならば、アイツには本当に女王から降りてもらうがな。」
「成程・・・。
確かに部下達が次々といなくなったら焦るし、自分を責めるかもしれないわね・・・。
女王のことはわかったわ。
で、このダークエルフは?」
「こいつは馬鹿な作戦を決行して、逆に恨まれているからな。
こいつには女王に協力させて、女王の信頼を取り戻させる。
女王とこいつが結婚すれば、エルフとダークエルフは仲良くなれるだろ?
まあ、こいつに告白する勇気があるかどうかは別だがな。」
「なんだ、そんなことなの?
だったら最初から言ってくれれば良かったのに!」
「それなら賛成だよー!」
「タナトス様はぁやっぱり神の使者ですぅ!」
おい、さっきと言ってること真逆だぞ?
「でも、どうやって・・・?」
「我に作戦がある。
きっと楽しいゲームになるぞ・・・くっくっくっ。」
「悪い顔のタナくんも素敵☆」
「でも、本当に楽しそうにゃん!!」
「先ずはここのダークエルフ達を全員、あの女王の所に送り込む。
手分けしてやろう。」
『ラジャー!!』
そして、ダークエルフ達を追放した後、ハルト達は準備を始める・・・。
「タナトス。それで、エルフ達を罠に嵌める作戦というのはなんなの?
ゲームとか言ってたけど・・・?」
「この城を使って楽しいアトラクション会場を創る。
まあ、楽しいのは見ている側の者だけどな。
まあ、見てろ。」
《クリエイトアイテム!!》
ハルトがスキルを展開すると城の前に3つのエリアが出来る!!
「わぁ!
なんか出来たね!!
あれなあに?」
「くっくっくっ・・・
エルフには5つの試練を与える。
先ず最初のエリアは落とし穴ゾーン。
我のスキル、常闇之絶望を第1エリアにセットする。
あのエリア一面、所々にな。
常闇之絶望を踏んだ者は闇に閉じ込められる。
エルフ達は如何にこの落とし穴を踏まないようにして次のエリア目指す。」
「いきなりハードね・・・
誰もクリアできないんじゃないの?」
「それだとつまらないからな。
ちゃんと道は作ってある。
壁際を歩いてみろ。」
「壁際?」
ハルトガールズは言われた通りに壁に沿って歩き出す。
「ほんとだわ!
落とし穴を踏まずにクリア出来たわね!」
「これに気づけばこのエリアは楽勝だ。」
「気づくかしらね・・・。」
「そして、第2エリアだ。」
「なんか丸太があるね?」
「あの丸太を渡って向こう側に行ければクリアだ。」
「なんか簡単ですぅ!」
「こんにゃの余裕にゃん!!」
「果たしてそうかな・・・?
ルーシー、あの高台まで飛ばしてくれ。
お前も一緒に来い。」
「わかった★」
俺はルーシーのスキルで浮遊し、高台まで行く。
「ルーシー、この装置で丸太を渡るやつを倒してくれ。
このボールをセットすれば勝手に飛んでいくからな。」
「へぇー☆
なんだか面白そう★」
「ティナ!
余裕だと思うなら渡ってみろ!!」
「わかったにゃん!!
いくにゃんよー!!」
ティナが丸太に乗って歩き出す!
「ファイヤー★」
ルーシーはティナに向かってボールを発射させる!!
「にゃにゃにゃにゃにゃ!?
危にゃいにゃん!!
何するにゃん!!」
「ただ渡るだけならゲームにならないだろ!!
ルーシー、もっとやれ!」
「あはは★
任せてー☆
それそれー★」
「にゃー!?
落ちるにゃん!
やめてくれにゃん!!」
「トドメー★」
ルーシーが放ったボールがティナに直撃する!!
「ぐはぁァァ!!」
そのまま特大の落とし穴に落ちてしまうティナ・・・。
「にゃにゃにゃにゃにゃ!!
出れにゃいにゃん!
暗いの怖いにゃん!!
助けてにゃん!!」
《解除》
ハルトがスキルを解除すると落とし穴が消え、ティナがマルタの横に座り込んでいた。
「にゃぁぁぁぁぁ!
怖かったにゃー!!」
「よしよし。」
泣いているティナの頭を撫でるルナ。
〈ガウガウ!〉
「このくらいのことで渡りきれないとは情け無い!
神の使者の仲間として恥だと思え!ってそんなこと言わないであげてよー!」
「じゃあ、ハティにゃんは渡りきれるにゃんか!!?」
〈ガウガウ!〉
「当たり前だ!お前みたいなのと一緒にするな!だって!」
「じゃあやってみるにゃん!!
落ちたら笑ってやるにゃん!!」
丸太の上にハティが立つ。
「ルーシーにゃん!
思いっきり当てるにゃん!!」
「任せてー★」
ルーシーの準備が出来、ハティの番となる。
「えい☆」
ルーシーがハティ目掛けてボールを放つ!!
しかし、ハティは神速を使い、一気に丸太を渡りきってしまう!!
〈ガウ!〉
「我にかかれば楽勝だと言っただろ。って物凄くドヤ顔してるよ!!」
〈キャンキャン♡〉
「流石はハティ様じゃ♡って惚れ惚れしてるよ!!」
「にゃにゃにゃにゃにゃ!?
あっという間に渡りきったにゃん!!
悔しいにゃん!!」
まあ、ハティなら楽勝だよな。
ボール来る前に渡りきればいいんだもんな・・・。
「お前たちにはボールを撃つ係をやってもらう。
上手く狙わないと外れるからな?」
『わぁぁぁぁい!!』
そして、俺達は第3エリアに移動する・・・。
続く。
本日もお読み頂きありがとうございます!
長くなってしまったので、2話構成にさせて頂きます。
本当は一話で終わらせたかった・・・。