第121の宴 ハルト、覇王になる
「この城を我が占拠する!!」
『えぇぇぇぇぇぇ!?』
「ご主人様!何言ってるのよ!」
「そうだよ!エルフたちの為に取り返しに来たんじゃないの!?」
「やっぱりタナトス様はぁ悪の使者ですぅ!!」
「タニャトス!みそこにゃったにゃん!!」
「あんたがそんな奴だったとは思わなかったわ!!
サイテー!!」
「あはは★
城を占拠するなんてかっこいいね☆」
〈ガウガウ!!〉〈キャン!!〉
仲間から執拗に責められるハルト!(ルーシー除く。)
「うるせぇぇぇぇ!!」
ビクッとする仲間達。
「誰が悪の使者だ!!
いいか・・・」
ハルトは仲間たちに何かを話仕込む・・・。
「なんだ、そんなことなの?
だったら最初から言ってくれれば良かったのに!」
「それなら賛成だよー!」
「タナトス様はぁやっぱり神の使者ですぅ!」
おい、さっきと言ってること真逆だぞ?
「でも、どうやって・・・?」
「我に作戦がある。
きっと楽しいゲームになるぞ・・・くっくっくっ。」
「悪い顔のタナくんも素敵☆」
「でも、本当に楽しそうにゃん!!」
「先ずはここのダークエルフ達を全員、あの女王の所に送り込む。
手分けしてやろう。」
『ラジャー!!』
一方その頃・・・
「神の使者は大丈夫じゃろか・・・。」
「ええ、きっと大丈夫ですよ!
あの方は途轍もなく強いんですから!」
「そうですぞ!
神の使者様なら今頃、オルフェノスの奴もあっという間にボコボコにされてますよ!」
「そうじゃな!
やっと妾は城に戻れるのじゃな!
後は婿を探して・・・」
そんな話をしていると女王のいる広間に空間が開かれる!
「ん?何じゃ?あれは?」
『へ?』
サブリナとルーンが振り向くとそこから次々とダークエルフ達が投げ込まれてくる!!
『ギャァァァァァァァァァァ!
ダークエルフぅぅぅぅぅぅ!?!?』
「何じゃ!?
何故こんなボロボロのダークエルフが・・・!?」
「はっ!きっと神の使者様に違いありません!!
神の使者様の部下の一人が空間魔法を使ってるのを見ました!!」
「つまり・・・あのオルフェノスを倒したんじゃな!!」
「きっとそうですよ!!」
大量のダークエルフ達が投げ込まれ、最後に3人が投げ込まれる!
「あ!オルフェノス!!
ま、丸焦げじゃ・・・!?
オルフェノスの側近の双子も・・・!」
「やはり、神の使者様は最強でしたな!」
「くっくっくっ・・・
神の使者だからな・・・
当たり前だ・・・」
「神の使者様!!」
ハルトが空間から出てくる!
「おお!良くやったぞ!タナトス!
これで妾は・・・!」
「くっくっくっ・・・」
「何じゃ!
何がおかしい!!」
「面白いに決まっているだろう?
こんな馬鹿な小娘を騙すのはなァァァァァ!!」
「だ、騙す!?
何を言ってるのじゃ!?」
「神の使者様!
そんなお戯れを・・・!!」
「戯れてなどいない・・・
貴様達の城は我らが占拠した・・・。
返してほしければ全員で取り返しに来るが良い!!」
『えぇぇぇぇぇぇ!?』
「まあ、貴様らみたいな雑魚が束になろうと我には勝つ見込みはないがな・・・。
くっくっくっ!」
「お、お主!
最初からそれが目的だったのか!?」
「・・・そうだ・・・。
騙されてるとも知らずに我に助けを求めるとはな・・・
笑いを堪えるのに必死であったぞ・・・?」
「しかし、お主のステータスにはちゃんと神の使者だと・・・!」
「我のスキルでステータス位いじれる。
我は本当は神の使者などではない!
我は覇王・タナトス!!
この世界を征服する者!
今まで数々の国を制覇してきた!
そして、今日!
我はエルフの島を支配した!
貴様らは我らの奴隷となり、一生惨めな暮らしをしていくのだ!!
フハハハハハハ!!!」
「覇王じゃと!?
嫌じゃ!
お主の奴隷になどなるか!!」
「じゃあ、城を取り返しに来い!
全員で来れば勝てるかもしれぬぞ?
では、城で待っているぞ!
奴隷共!!」
そう言うとハルトは空間の向こう側へ消えていった。
「まさか・・・あの方が覇王だなんて・・・!」
「ルーン!
貴様、なんて奴を連れてきたのじゃ!!」
「も、申し訳御座いません!!」
「兵士長を責めるのは間違いですよ!
女王様!!」
「何じゃと!?」
「女王様だって鑑定して信じたじゃないですか!!」
「確かに神の使者と書いてあったんじゃ!
騙されるに決まっておろう!」
「今は誰が悪いとかではなく、どうするかを考えましょうよ!!
あの方が敵に回るということは我らに勝ち目はありません!!」
「くっ!確かに・・・。
やつのステータスはこの世の者ではないほどであった・・・。
妾達が束になろうと勝てる相手ではない・・・。」
「・・・こうなったらここにいる者達にも協力してもらうしかありませぬぞ!」
「ここにいる者達って・・・
オルフェノス達のことか!?
嫌じゃ!
此奴は妾の城を奪った者達じゃぞ!
協力するわけ無かろう!」
「いえ、きっと協力してくれるはずです!
だって、ダークエルフ達もあの方にやられたのですよ!
きっと恨んでるはずです!
それを逆手に取って協力させるのです!
悔しいですが、強さはダークエルフ達のほうが圧倒的に上です。
作戦を立て、全員で総攻撃をかければスキが生まれるやもしれません!!」
「くっ!相手が相手だからな・・・
仕方ない!
回復班をこちらに連れてまいれ!
此奴らを先ずは回復させるのじゃ!」
「はっ!」
そして、ダークエルフ達を回復させる女王達!
「うう・・・ここは・・・?」
「目を覚ましたか?」
「うわ!ルミリアン!!
え!?やっと来てくれたのか!?
あれ!?あの者は!?」
「何を言っておるのじゃ?
来たのはお主らであろう!」
「な、なんだと!?」
「お主らはタナトスにやられたのじゃ。
そして、妾達の隠れ家に放り込まれたのじゃ。」
「なんだと!?
くっ!あいつめぇぇぇぇぇ!!」
「オルフェノス!
妾達は城を取り戻す。
お主もあの者に復讐したいであろう?
妾達に協力せい!」
「ルミリアン・・・俺を恨んでないのか・・・?」
「恨んでおるに決まっているであろう!!
しかし、今の我らの敵はあのタナトス!
協力しない限り、勝ち目はない!
もし、城を取り返し、妾に城を返すなら許してやっても良いぞ・・・?」
「本当か!?
なら、喜んで協力しよう!
ジーク!ケリー!!
早く起きろ!!
ルミリアンの為にあのタナトスをぶっ倒すぞ!!」
「うう・・・オルフェノス様・・・?
あ、あれ?ルミリアン様!?
どうして!?」
「様じゃと・・・?
お主に慕われる覚えはないわ!!」
「あ!しまった!」
「貴方・・・どうして女王様に様なんて・・・
私達は敵対してるのよ?」
「敵対?
俺はルミリアンの敵になった覚えはないぞ!」
「何を言っておるのじゃ!!
城を奪っておきながら!」
「いや、それはですね・・・」
「なんか怪しいな・・・
何故、お前たちは我らの城を奪ったのだ!?」
「いや、その・・・」
「ほら!アンタのせいで滅茶苦茶じゃない!!
どうしてくれんのよ!
このヘボ策士!!」
いつの間にか起きていたジークの片割のケリー。
「ヘボ策士とはなんだ!!
これでも一生懸命考えたんだぞ!!」
「一生懸命考えたならもっとマシな作戦考えなさいよ!!
この脳筋!!」
「脳筋だとぉぉぉ!」
「姉弟喧嘩するな!!
兎に角、今はタナトスじゃ!
何の作戦だか知らないが、お主らが城を占拠した理由は後で聞く!
ダークエルフは集められぬのか?」
「集められないことはないが、時間がかかる。
早くて6日・・・。
行って帰ってくる時間だ・・・。」
「6日か・・・流石にそこまで待てぬな・・・。
どうするか・・・。」
「エルフの方は何人出撃出来る?」
「うちの方は五十人程だ。」
「こっちは40人ほど・・・。
合わせて90人・・・。
それで行くしかないな・・・。」
「タナトスの実力を考えるともっと欲しいところじゃな・・・。」
「しかも、我々の兵はダークエルフに比べると・・・」
「くっくっくっ・・・
困ってるようだな・・・。」
『!?』
「タナトス!!
何しに来た!?」
「貴様らにハンデをくれてやろう。
我が貴様らに援軍を連れてきた。
これだけいれば我を追い詰めるところまでいけるであろう?」
ハルトの隣に空間が展開し、中からダークエルフ達がぞろぞろとやってくる!
「オルフェノス様!
お呼びでしょうか!?」
「お前達!!」
ダークエルフ総勢100人の兵がエルフの隠れ家に集結する。
「タナトス!
貴様、どういうつもりじゃ!?」
「くっくっくっ・・・ゲームは沢山の方が楽しいであろう?」
「ゲームじゃと・・・!?」
「そうだ・・・!
これから我とゲームをしようじゃないか!
ルールは簡単。
貴様らの誰かが我が王城の玉座に座ることが出来れば貴様らの勝ちだ。
大人しく我らはこの島から去ろう。
だが、誰も辿り着けなければ貴様らの負け。
貴様らは一生我の奴隷だ。
では、タナトス城で待ってるからな・・・。
くっくっくっ!」
そしてハルトは空間の向こう側に消えてゆく・・・。
「くっ!勝手なことを・・・!」
「しかし、チャンスかもしれませんよ!
あの方に我らが戦いを挑んでも絶対に勝てません。
しかし、このゲームはあの方を倒さなくても玉座に座ればいいんです!
こっちは人数がいるんですから誰かしら座れますよ!」
「確かに・・・!
俺がお前を命に変えても座らせてやる!
直ぐに行こう。
時間が空けば、その分相手が準備ができる分有利になる。」
「そうじゃな・・・。
オルフェノス・・・
頼んだぞ・・・。」
「ああ!
お前のためにやってやる!」
そして、エルフ達は城に向かう・・・。
続く
本日もお読み頂きありがとうございます!
ジークが女王をルミリアン様と言う理由は、前にオルフェノスの前で呼び捨てにしてボコボコにされたからです。
それ以降、ジークはルミリアン様と呼ぶようになりました。
オルフェノスは自分以外が呼び捨てするのは気に食わないみたいです。
因みにジークとケリーは二卵性の双子です。
仲悪いです。